最近はニュースなどで「M&A」という単語を耳にする機会が増えていますが、「スモールM&A」という単語はまだまだ耳慣れない言葉なのではないでしょうか。
一般的にスモールM&Aは、小規模な会社や事業を売買する取引のことを指しています。
このスモールM&Aですが、実は近年注目が集まっていて、取引件数も増加傾向にあるのです。
本記事ではスモールM&Aの概要をはじめ、注目されている理由・メリット・デメリットについて解説します。
スモールM&Aを成功させるポイントにも言及していますので、小規模な事業を営んでいる方はぜひ参考にしてください。
登場人物紹介
インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!
中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。
1章:スモールM&Aとは

実はスモールM&Aという単語について、法律で明確に定義されているわけではありません。
そのため細かい定義は事業者ごとに異なるのですが、一般的には小規模な事業や会社のM&Aを指しています。
とはいえ「小規模な事業」のイメージも、受け取る人によってさまざまです。
そこで本記事では、スモールM&Aを以下のように定義し、解説を進めていきます。
年間売上高が1億円未満もしくはM&A取引価格が1億円未満
M&A取引価格は、M&A交渉がある程度進まないと分かりません。そのため「意図してはいないけれど、結果的にスモールM&Aになった」という事例もありますよ。
なるほど。ということは、年間売上高とM&A取引価格は必ずしも比例しないというわけですね。
その通りです。実際に、売上が5千万円でも1億円の譲渡金額を超えることがありますし、10億円以上の売上があるにも関わらず、譲渡金額が1億円を下回ることもあるんですよ。

2章:スモールM&Aが注目されている理由

M&Aが注目されている背景としては、経営戦略としての有用性が浸透してきたことが挙げられます。
また、イグジットの手段としてM&Aを活用するシリアルアントレプレナー(連続起業家)が増えてきた点も、M&Aへの関心が高まっている理由だといえるでしょう。
その中でも特にスモールM&Aが注目されている代表的な理由は、事業承継の代替手段としての需要が高まっていることです。
事業承継というと、会社を次代へ譲ることですね。小さな会社は親子間での事業承継が多いイメージですが、少子化の影響がここにも表れているのでしょうか。
まさにおっしゃる通りです。スモールM&Aの需要が高まっている要因の1つとして、少子化や職業選択の自由が広まったことで、経営者の子どもが後を継ぐケースが減っている点が挙げられるんですよ。
また事業規模の小さな会社は従業員数が少ないところも多く、親族間だけでなく社内からも後継者が見つかりにくい側面を持っています。
たしかに従業員が少ないと後継者の選択肢も限られますね。後継者に指名した従業員が辞退することだって十分考えられますし。
「社長」って、意外とやりたい人は少ないんですよね。従業員は「雇われていること」に安心感を抱いている部分もありますし。
その一方でM&Aは、会社の経営権を第三者へ譲渡することで事業承継が実現します。そのため身近に後継者候補が見つからなくて、M&Aで事業承継を実現する会社が増えているのです。

3章:スモールM&Aのメリット

ここからは、スモールM&Aによって売り手が得られるメリットを確認していきましょう。
スモールM&Aでも、通常のM&Aとほとんど変わらないメリットが享受できますよ。

3-1 後継者不在でも事業承継が実現する
2章でも触れたとおり、後継者が不在でもスモールM&Aを活用することで事業承継の実現が可能です。
スモールM&Aには目的に合わせていくつかのスキーム(方法)がありますが、事業承継を目的とする場合は、第三者へ経営権を譲渡するスキームを選択します。
主に株式譲渡というスキームが使用されることが多いですよ。売り手が自社の株式を全て買い手へ売却し、経営権を譲渡するスキームです。

なるほど。全ての株式を売却して、買い手に経営を委ねるということですね。そうなると自分が引退した後は、買い手から新しい社長が任命されてやってくるイメージでしょうか。
そのイメージでOKです。

3-2 従業員の雇用を継続できる
スモールM&Aでは基本的に、売却される会社や事業に紐づく従業員も一緒に買い手へ譲渡されます。
従業員を路頭に迷わせてしまう心配がないため、経営者は安心してスモールM&Aを実行できる点もメリットだといえるでしょう。

3-3 売却益を得て引退できる
使用するスキームによっては、スモールM&Aの対価を経営者個人が受け取ります。売却益を受け取ったうえで引退すれば、その後の生活も安心です。
経営者個人がスモールM&Aの対価を受け取り引退するなら、スキームは株式譲渡か合併がおすすめ
スモールM&Aで受け取る対価が、自身への退職金になる感覚ですね。

3-4 個人保証や連帯保証から解放される
スモールM&Aのスキームに株式譲渡を選択すると、経営者個人が背負っている個人保証や連帯保証を解除できる可能性が高まります。
保証を解除するためには、買い手の同意と金融機関の許可が必要
保証解除の希望がある場合は、スモールM&Aの条件として最初から提示しておきましょう。
なるほど。保証の解除に同意してくれる買い手を探すのですね。個人保証や連帯保証の解除が実現すると、ものすごく大きな解放感に浸れそうです(笑)
そうですね。実際に保証の解除を実現した経営者様の多くは「肩の荷が下りた」と感じるようですよ。


4章:スモールM&Aのデメリット

メリットばかりに目がいきやすいスモールM&Aですが、デメリットの存在も見過ごせません。
スモールM&Aに踏み切ってから「こんなはずじゃなかった」とならないためにも、デメリットについて理解しておくことが重要です。
4-1 売却後の経営は買い手の意向に従うことになる
スモールM&Aで会社の経営権を売却した後は、経営の決定権が完全に買い手へと移ります。
そのため売却後に引き続き社長として働き続けることになったとしても、経営に対する決定権は持っていない点に注意が必要です。
たとえ社長として残留しても、経営に関する重要な事項は親会社の決済が必要になるということですね。
その通りです。これまで会社の全てを自身の思い通りにしてきた方にとっては、少々物足りなく感じるかもしれません。

4-2 全ての希望を満たしてくれる買い手と出会える確率は低い
スモールM&Aで売り手が提示する条件には、希望売却価格の他にも従業員の処遇・自身の処遇・個人保証の解除などたくさんの項目が出てくるかと思います。
しかし売り手の希望を全て叶えてくれる買い手に出会える確率は、限りなく低いと言わざるを得ません。なぜなら、買い手にもさまざまな事情や希望条件があるからです。
売り手の希望条件と買い手の希望条件をすり合わせて、うまく折り合いをつけることが、スモールM&Aを成功させるポイントの1つとなるでしょう。

4-3 仲介手数料の負担が大きくなりやすい
M&Aの取引価格が小さなスモールM&Aは、M&A仲介会社へ支払う仲介手数料に注意が必要です。
仲介手数料の中で最も金額が大きくなる成功報酬には、一般的にレーマン方式が採用されており、M&Aの取引価格に準じて手数料が決定します。
レーマン方式の例
取引価格 | 料率 |
5億円以下の部分 | 5% |
5億円超10億円以下の部分 | 4% |
10億円以上 | 3% |
さらに、多くのM&A仲介会社は最低成功報酬額を設定しています。そのため場合によっては、レーマン方式で算出された成功報酬より多くの成功報酬を支払う必要が出てきてしまうのです。
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上の図で見ると、黄色っぽい部分が支払う成功報酬額で、青い部分が売り手の手元に残る金額です。
最低成功報酬額が違うと手取り額に大きな差が出てしまうのですね。取引価格の半分を報酬で持っていかれてしまうのは、正直辛いです。
実際にはここから所得税などが引かれますから、純粋な手取りとしてはもっと少なくなってしまうんですよ。
自社のM&AがスモールM&Aに該当する場合は、M&A仲介会社選びも慎重に行いましょう。

5章:スモールM&Aを実行する方法

スモールM&Aを実行するにはいくつかの方法(スキーム)がありますが、ここではよく使用される株式譲渡と事業譲渡についてみていきましょう。
5-1 株式譲渡
3章でも少し触れましたが、スモールM&Aでポピュラーなスキームといえば株式譲渡が挙げられます。

譲渡対象企業(売却対象会社)の株主(売り手)が保有株式を譲受先(買い手)に売却し、経営権を引き継ぐM&Aスキーム
中小や零細企業の場合、経営者が100%の株主であるケースがほとんどです。そのため、経営者が自らの所有する経営権を買い手へ譲渡するスキームだと捉えて良いでしょう。
株式譲渡により売却対象会社の経営権は買い手へ移りますが、従業員の雇用など、会社の中身はそのまま存続する特徴を持っています。
会社そのものは何も変わらずに、経営者だけが交代するイメージですよ。
5-2 事業譲渡
会社が複数の事業を展開していて、その中の一部を第三者へ売却したい場合に事業譲渡が用いられます。

事業譲渡では会社の事業のみを譲渡するため、経営権の移動はありません。そのため、売り手企業の経営者は引き続き、残った事業の経営を続けることになります。
事業譲渡では通常、譲渡される事業に紐づく従業員も一緒に譲渡されます。
事業譲渡は、会社の中身の一部だけを切り離して譲渡するイメージです。増えすぎた事業を整理する際などに使用されるスキームですよ。

6章:スモールM&Aの相談先

スモールM&Aを実行するためには、高度な専門知識が必要となるため、専門家にサポートを依頼するのが一般的です。
スモールM&Aの相談先には、以下が候補として挙げられます。
それぞれの相談先について、詳しくみていきましょう。

6-1 M&A仲介会社
M&A仲介会社とは、M&Aのお相手探し(マッチング)・必要書類の作成・交渉サポートなど、M&Aの成約までをトータルでサポートしてくれる会社です。
売り手と買い手の間に立ち、中立の立場として条件の調整などをサポートします。
M&A仲介会社はM&Aの専門家なので、最後まで一貫して任せられる安心感がありますよ。
ただし、M&A仲介会社によって得意な業種や企業規模があったり、報酬体系が異なったりします。納得のいくM&Aにするためには、自社に合ったM&A仲介会社の選定が重要です。
メリット | デメリット |
M&Aの相談から成立まで一貫して任せられる | 自社に合った会社を選ぶ必要がある担当コンサルタントとの相性が重要 |

6-2 M&Aのマッチングサイト
M&Aマッチングサイトとは、オンライン上で売り手と買い手のマッチングを行うプラットフォーム型のサービスです。
無料で登録できるサイトが多く、成約時の手数料も低く抑えられている点が特徴です。
ただしM&A交渉のサポートには対応していないことが多いため、専門家へ別途依頼する必要が出てきます。
メリット | デメリット |
自分で気軽にM&Aの相手企業を探せる相手企業の選択肢が多い | 情報漏洩のリスクが大きい |

6-3 税理士・会計士・弁護士

税理士・会計士・弁護士などの士業事務所でも、M&Aを取り扱っている場合があります。
ただし士業事務所は、税務・財務・法務などの専門家です。M&A全般に対する専門家ではないため、サポートできる範囲が限定される場合がある点に注意してください。
メリット | デメリット |
税務・財務・法務などの面では安心して任せられる | 相手候補企業が少なくなる可能性がある |
6-4 事業承継・引継ぎ支援センター
事業承継・引継ぎ支援センターは、近年の中小企業における事業承継問題を解決すべく、2021年4月に全国に設置された公的な相談窓口です。
M&Aなど事業承継に関するあらゆる相談ができ、M&Aのマッチング支援や仲介会社への取次ぎなどのサービスも受けられます。
メリット | デメリット |
無料で相談できる47都道府県全てに設置されており、地方の企業も利用しやすい | 仲介サポートには対応していないため、必要に応じて専門家へ依頼しなければならない |
6-5 商工会・商工会議所
事業承継・引継ぎ支援センターと同じく公的な窓口で、地域の中小企業に対してM&Aに関する相談を受け付けています。
事業承継M&Aがメインで、中小企業庁により策定された「中小M&Aガイドライン」においても、支援機関の1つとなっています。
メリット | デメリット |
中小企業に関する業務経験が豊富なため、中小企業同士のM&Aに強みを持っている | 利用するためには会員になる必要がある。相談は無料だが、会員になるために費用がかかる |

7章:スモールM&Aの手順

スモールM&Aの手順は、通常のM&A手順と大きく変わりません。M&Aを検討し始めてから実行完了までは、主に以下の7つのステップを経る必要があります。
それぞれのステップについて、内容をみていきましょう。

7-1 準備
スモールM&Aを滞りなく進め、成功へと導くためには準備が大切です。
しっかりと準備を整えてからプロセスをスタートすれば、そうでない場合と比べて何倍もスムーズに事が進み、成功率も飛躍的に高まりますよ。
準備として行うことは、以下の7項目です。
- スモールM&Aを決意した動機を整理する
- 買い手へ求める希望条件を抽出する
- 抽出した希望条件に優先順位を付ける
- M&Aの相談先を検討し、仲介契約を締結する
- 会社にとってのキーマンがいればリストアップする
- 向こう3年分の事業計画書を用意する
- M&A交渉に必要な書類の準備にとりかかる
スモールM&Aの相談先が決定しないと、その先のプロセスへ進むことが困難です。そのため、他の準備と並行して信頼できる相談先を探すことが、M&Aの準備期間を短縮するポイントになります。


7-2 買い手探し
スモールM&Aの相談先が決まると、早速買い手探しが始まります。とはいえ、いきなり買い手へアプローチするわけではありません。
まずは担当のM&Aコンサルタントによって、ノンネームシート(NN)と企業概要書(IM)の作成が行われます。
ノンネームシートとは
売り手企業の概要を企業名を伏せてまとめた書類
企業概要書とは
売り手企業の企業概要・事業内容・財務諸表などの詳細が記された書類(企業名も含む)
上記の書類を使用して、担当コンサルタントが買い手候補企業を探します。相性の良さそうな買い手候補が見つかれば、交渉へと移ります。
買い手候補企業は複数挙がるケースもありますよ。
複数の候補から選べるのは嬉しいですね。ところで買い手探しでは、売り手である私自身が何かアクションを起こすことはないのでしょうか?
直接の買い手探しは、基本的には担当コンサルタントにお任せください。買い手への希望や必要な書類などの提出を求められた際には、スムーズに応じて頂けると助かります。
7-3 交渉
買い手候補が見つかり、お互いにスモールM&Aへ前向きな姿勢が確認できたら、相手と直接顔を合わせるトップ面談が組まれます。

トップ面談で相手について相互理解を深め、スモールM&Aのお相手としてふさわしいと感じられると、実行へ向けての具体的な交渉を行います。
売り手・買い手双方が出している条件のすり合わせなどを行いますよ。
そして交渉で決定した内容にお互いが納得し合意を得られたら、基本合意契約を締結します。
もう契約成立ですか?早いですね。
基本合意契約はM&A成立の中間地点なんです。締結した基本合意契約に基づいて更なる交渉が行われ、最終的な契約成立へ向けて調整していくんですよ。
なるほど。まだ先は長いのですね。
複数の買い手候補企業が挙がっていた場合でも、一般的に基本合意契約を締結するのは1社のみです。交渉の中で、自社に最もふさわしい買い手候補を選びましょう。

7-4 デューデリジェンス
基本合意契約の締結が完了すると、買い手によるデューデリジェンスが行われます。
買い手が売り手対象企業の実態を詳細に調査する作業のこと
買い手は基本合意契約の締結まで、売り手対象企業の情報を企業概要書や決算書などの書類上でしか知りません。
そのため実際に売り手企業を調査することで、書類上では分からなかった事業運営に影響を及ぼす障害の有無や、企業価値に影響を与える事項などを確認するのです。
具体的には、簿外債務や訴訟リスクの存在を確認したり、税務申告が正しく行われているかの確認をしたりします。
7-5 譲渡契約の締結
買い手が実施したデューデリジェンスの結果を元に、最終的な条件の交渉が行われます。
そして売り手・買い手双方が納得する条件が揃ったら、スキームに合った譲渡契約書を作成し、署名・捺印を行います。
譲渡契約書の正式名称は、使用するM&Aスキームによって異なる
スキームが株式譲渡の場合は株式譲渡契約書で、事業譲渡の場合は事業譲渡契約書になりますよ。
なるほど。最終的な契約書ということは、いよいよM&Aの契約が成立するということですね。
そのとおりです。

7-6 クロージング
譲渡契約に記載された内容に基づき、クロージングが行われます。株式譲渡の場合、クロージングで行われる代表的な手続きは、主に以下の3点です。
- 買い手から売り手へ譲渡対価の支払いが行われる(決済)
- 売り手が会社から株式の譲渡について承認を得る(株式譲渡承認請求)
- 株主名簿の名義を売り手から買い手に書き換える
クロージングでは、実際に会社の経営権を売り手から買い手へ移す作業が行われるんですよ。
なるほど。ということは、クロージングの完了をもってM&A手続きの完了という認識でよいでしょうか。
その認識でOKです。

7-7 引継ぎ・経営統合(PMI)
クロージングをもって経営権は売り手から買い手へと移りますが、その後は経営の引継ぎと両社の経営統合プロセスを実施します。
売り手と買い手の経営方針や業務システム、従業員の評価制度などが1つに統合されることで初めて両社が1つになり、シナジーの獲得などM&Aのメリットを享受できる状態となるのです。
それどころか経営を1つに統合しないと、従業員の間における軋轢やシステム運用のトラブル等が発生し、事業に支障をきたす恐れが出てきてしまいます。
引継ぎと経営統合は、M&A後の事業をスムーズに軌道に乗せるために、非常に重要なプロセスなんですよ。
スモールM&Aが成立した喜びで、気を緩めてはいけないということですね。肝に銘じます。

8章:スモールM&Aを成功させるポイント

スモールM&Aを成功させるためには、スモールM&Aならではのポイントを押さえておきましょう。以下で詳しく解説します。
通常のM&Aを成功させるポイントも同時に把握しておくと、成功率が飛躍的にアップします。詳しくは以下の記事も参考にしてくださいね。

8-1 スモールM&Aに強いM&A仲介会社へ依頼する
世の中にM&A仲介会社は数多く存在しますが、全ての仲介会社がスモールM&Aを得意としているわけではありません。
中には大型のM&Aや、クロスボーダーM&A(海外企業とのM&A)に特化しているM&A仲介会社も存在します。
そこで、スモールM&Aを成功させるポイントの1つとして、スモールM&Aに強い仲介会社を選ぶことが挙げられます。
スモールM&Aに強い仲介会社は、どのようにして判別すればよいのでしょうか。
スモールM&Aに特化している仲介会社は、その旨をホームページに明記してある場合が多いですよ。
ホームページを見てもよく分からないという場合は、M&A仲介会社へ問い合わせる際に、最低成功報酬額を一緒に確認してみましょう。
最低成功報酬額が低く設定されているM&A仲介会社なら、スモールM&Aを得意としている可能性が高いです。
最低成功報酬額が低く、とは具体的にいくらくらいを指しているのでしょうか。
だいたい、500万円以下を目安にするとよいですよ。
8-2 買い手企業選びは慎重に行う
取引価格が少額になるスモールM&Aは、通常のM&Aと比べて交渉がスピーディーに進む傾向があります。
そのため相手企業がどのようなビジョンをもって事業展開をしているのか、またM&Aの相手として十分に信頼できる企業なのかを、事前にしっかりと確認しておきたいものです。
モヤモヤした点を抱えたまま、いつの間にか取引が成立していた…なんてことのないように気を付けてくださいね。
また、買い手の選定を焦りすぎてもいけません。買い手候補が自社にとって本当に理想的な企業なのか、自社にどのようなメリットをもたらしてくれるかを、しっかりと検討したうえで決定してください。
まとめ

スモールM&Aは、年間売上高が1億円未満もしくはM&A取引価格が1億円未満の規模が小さなM&Aです。
スモールM&Aが成立すれば事業承継が実現できるだけでなく、創業者利益を獲得できるなどのメリットを得られます。
ただし、希望条件を全て満たしてくれる買い手になかなか出会えないなどのデメリットにも注意が必要です。
不安に感じることなどは、スモールM&Aに知見を持ったM&Aコンサルタントに相談することをおすすめします。



