M&A

M&A件数が毎年増え続ける理由|売り手間の熾烈な競争に勝ち抜くための秘策とは

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社長

近年M&Aの件数が増えていると聞きますが、それは本当なのでしょうか。

齋藤さん

本当です。件数の増加に伴い、売り手が不利な時代が到来しています。

売り手が不利ということは、今までより会社を売却しづらくなるということでもあります。

この記事では、M&Aが毎年増え続けている理由を詳しく解説しています。

さらに、売り手が不利な時代であっても会社売却を成功させるためのコツやポイントも紹介しています。

齋藤さん

売り手間の競争を勝ち抜いて、買い手から選ばれる売り手になりましょう!

登場人物紹介

齋藤さん

インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!

社長

中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。

1章:M&Aの件数は毎年増え続けている

上昇グラフ

中小企業庁が出している2023年中小企業白書によると、2011年に1,687件だったM&A件数は2022年に4,304件にまで増加しています。

これは、毎日10件以上ものM&Aが日本のどこかで行われている計算になります。

社長

12年で3倍近くの件数に跳ね上がっていますね!

齋藤さん

データで見るとよく分かりますよね。そして今後もM&A件数は増加していくといわれています。

中小企業のM&Aに関しては公表されていないことも多いため、実際にはもっと多くのM&Aが実行されている可能性も十分考えられます。

参照元:中小企業庁:2023年中小企業白書

2章:M&Aの件数が増えている理由

書類の上で握手するイメージ
社長

M&A件数が増加しているのは分かりましたが、なぜここまで急激に増えているのでしょうか。

齋藤さん

M&A増加の背景には、日本の中小企業が抱えている問題が大きく関わっているんですよ。

M&A件数が増えている理由
  • 経営者の高齢化
  • 後継者不足
  • 経営環境の変化

さらに近年では、M&Aに対するイメージの変化もM&A件数の増加に関与しているといわれています。

2-1 経営者の高齢化

現代の中小企業が抱えている大きな問題の1つとして、経営者の高齢化が挙げられます。

これまで日本経済の発展を支えてきた経営者の高齢化が進み、後継者を外部に求めた結果がM&A件数の増加へと繋がっているのです。

齋藤さん

次に挙げている後継者不足問題が、経営者の高齢化をさらに進めている側面もあるのです。

社長

一体どういうことですか?

齋藤さん

後継者がいない→経営者がなかなか引退できない→経営者の高齢化という悪循環が起こっているのですよ。

2-2 後継者不足

社長と従業員のイメージ

日本の中小企業における後継者不足問題は、経営者の高齢化問題も相まって非常に深刻なものとなっています。

社長

わが社もまさに後継者不足の問題に悩まされています。

齋藤さん

少子高齢化が進んでいるため、若い世代の労働人口が減少している点も大きな要因となっているんですよ。

ひと昔前の日本では後継者がいない=会社をたたむという選択しかできないイメージでしたが、現在はM&Aで事業承継を行う会社が増えています。

齋藤さん

M&Aは、後継者がいなくても事業承継が実現し、さらに売却益を受け取れるのです。

社長

後継者のいない社長にとってはまさに夢のような方法ですね!

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2-3 経営環境の変化

現代の日本では産業が成熟し、市場が飽和状態にあるといっても過言ではありません。

齋藤さん

少子高齢化で購買意欲の高い若年層が減少していることも、市場の縮小につながっています。

また、様々な規制緩和や情報化などによる経営環境の変化は、中小企業同士の競争を激化させています。

社長

確かに大手企業の傘下に入った方が「守られている」安心感みたいなものを感じるかもしれません。

齋藤さん

そうですね。大手の技術や仕入れ・流通のネットワークを使えるようになるため、競争力がアップするケースが多いですよ。

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2-4 M&Aイメージの変化

ひと昔前はM&Aといえば「倒産しそうな会社が経営再建のために会社売却を行う」というイメージが強いものでした。

そのためM&Aには”身売り”のようなマイナスイメージを持つ人が多かったのです。

しかし近年は連続起業家(シリアルアントレプレナー)の登場などで、経営戦略の一環としてのイメージが浸透しつつあります。

連続起業家とは

新しい事業を立ち上げて成長させた後に売却し、その資金を元手に再び新たな事業を立ち上げるサイクルを繰り返す人のこと

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齋藤さん

後継者のいない会社が事業承継のためにM&Aを行うケースも、経営戦略としてのM&Aといえますよね。

社長

第三者への事業承継を実現させて、会社を存続させつつ更なる成長を目指すというわけですね!

齋藤さん

その通りです。M&Aがビジネスの手段として浸透してきた背景には、事業承継目的のM&Aが増えたことも関係していますよ。

社長

M&A件数が増えている理由が絡み合って、相乗効果でイメージがアップしてきているのですね。

3章:売り手が不利な時代の到来!?ますます熾烈になる売り手間の競争

パズルのピース

今後少子高齢化がますます進み、後継者がいない中小企業のM&Aもさらに増えることが予想されています。

そのため、会社売却を希望する売り手間の競争はますます熾烈化していくでしょう。

齋藤さん

なぜ売り手間の競争が熾烈化するのか、その理由を解説していきますね。

3-1 売りたい人が増える=供給過多の状態

M&Aの件数が増えているということは、「会社を売却したい」と考えている中小企業が増えているということです。

それに対して買い手企業の数は、実はそんなに増えていません。

齋藤さん

「売りたい」人が増えて「買いたい」人は増えていない。つまり、供給過多の状態に陥っているのです。

供給過多

「買いたい」という需要に対して「売りたい」供給が多い場合に起こることには、以下2点が考えられます。

  • 売り手側が思っていたよりずっと安い価格で買い叩かれる
  • 売り手間の競争に勝てずに買い手から選ばれない
齋藤さん

買い手から「選んでもらわなくてはならない」状況となるため、どうしても売り手の立場が弱くなってしまうのです。

3-2 キラリと光る魅力がない会社は買い手が現れなくなる

供給過多の状態に陥ると、1社の買い手に対して複数社の売り手が候補として名乗りを上げる状況が作られます。

そこで買い手から買収候補の1社に選ばれるためには、「他社にはない魅力」が必要となってくるのです。

齋藤さん

普通の感覚で考えても、魅力のない会社を欲しいと思う買い手はいませんよね。

社長

たしかに。先日腕時計を購入しましたが、複数の商品を比較検討して一番魅力を感じたものに決めました。それと同じですね。

齋藤さん

その通りです!複数の候補があるときは、比較検討して自分にとって最も魅力を感じる1つをチョイスしますね。会社の売却も同じですよ。

社長

逆に魅力を感じられなかった会社はどうなってしまうのでしょうか

齋藤さん

会社売却が叶わなかったその先には廃業が待っているかもしれません。最悪の場合、社長個人の破産をともないます。

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4章:買い手から選ばれる売り手になるための秘策

電球を持つ手
社長

売り手同士の競争に勝ち抜く方法はあるのでしょうか。

齋藤さん

あります!現段階で他社との差別化が進んでいなくても、今から取り組める秘策があるんですよ。

社長

それはぜひ知りたいです!

これからご紹介する方法は、会社売却を具体的に考え始める前から取り組んでおくと非常に効果的です。

たとえ将来M&Aを行わなかったとしても、会社にとってプラスになることばかりですので、ぜひ今から取り組み始めましょう。

4-1 自社の強みと弱みを明確にしておく

M&Aで会社売却を行う際に買い手から選ばれるためのポイントとして、シナジー効果への期待が挙げられます。

社長

シナジー効果とはどういったものなのでしょうか?

シナジー効果を発揮させるためには自社の強みと弱みを明確にしておく必要があります。

自社をしっかりと分析しておくことで強みをより高め、弱みを補いあえる買い手探しが行えます。

齋藤さん

シナジー効果が期待できる相手であれば、買い手から選ばれる可能性が高まりますよ。

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自社の強みと弱みを明確化するためには、定期的な事業計画の作成をおすすめします。

事業計画を作成する際には、自社の強みと弱みを分析する作業が必要になります。

自社の強みを活かし、弱みを克服させながら会社の未来を具体的な数字を持って予測するのです。

齋藤さん

事業計画を作成している中小企業の数はまだまだ少ないため、それだけでも他の売り手候補に差をつけられますよ。

社長

なるほど。しかし事業計画とはすぐに作成できるものでもなさそうですね。

齋藤さん

たしかに最初は作成に時間がかかると思います。だからこそ、今はM&Aを検討していなくても、すぐに取り掛かるべきなのです。

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4-2 仕組み化を導入し会社を磨き上げ企業価値を高める

説明する男性
  • 直近の売上がイマイチ芳しくない
  • 他社と差別化できるような強みが見つからない

上記のようないわゆる「どこにでもある普通の会社」であっても、企業価値を高められる方法が会社の磨き上げです。

つまり、社長がいなくても会社が回り、業績を上げ続けられる仕組みを社内に構築するのです。

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齋藤さん

社長にしか分からない仕事、たくさんありませんか?

社長

ギクッ…!確かに私にしかできない仕事は多いです。会社の重要なことを決めるのもたいてい私ですし…。

仕事が「社長」に付いていると、会社の価値そのものが社長の存在に左右される状態です。

なぜなら、買い手としては下記のような懸念を抱く可能性が高いためです。

  • M&Aで社長がいなくなったら売り上げが落ちるのではないか
  • 社長がいなくなったら会社のキーマンも辞めてしまうのではないか
  • 社長以外にマネジメントできる人がいないのではないか
齋藤さん

社長がいなくなったら会社の価値が落ちると買い手に判断された会社は売り手として選ばれません。

そこで経営者がいなくても回る会社の仕組み作りが重要となってくるのです。

経営者がいなくても会社が回る仕組みの例
  • 特定の社員に依存しなくても人材が育つ仕組み
  • 幹部だけで経営判断が可能になる仕組み
  • 社員が自主的に働ける仕組み
  • 社員自身が業務改善をできる仕組み
  • 幹部や社員がPDCAサイクルを回せる仕組み

※PDCAサイクルとは…Plan(計画)・Do(実行)・Check(測定・評価)・Action(対策・改善)のサイクルを繰り返し行い、継続的な業務の改善を促す取り組み

そうして作り上げた会社の仕組みが、自社にとって独占的な資産となるのです。

齋藤さん

仕組み自体が資産となり、独自の強みとして価値を発揮し、買い手から選ばれる会社へと成長できるんですよ。

社長

なるほど。「ウチにしかできない仕事の仕組み」を作るんですね。しかし仕組み作りも時間がかかりそうですね。

齋藤さん

その通りです。たとえM&Aを行わなくても、仕組み化でたくさんのメリットが得られるため、今すぐ始めましょう!

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4-3 会社の”売り時”を見極める

会社の成長サイクルと価値変動

実はどの会社にも、”売り時”が存在します。

会社売却に適したタイミング
  • 業績が右肩上がりに成長している時期
  • 業績が横ばいになっている時期(新しい風を入れれば更なる成長が見込まれるとき)
  • 業界全体の景気が良いとき
  • 業界再編の動きが高まっているとき
  • 業績は良いものの、社長の意欲が減退しているとき
  • 社長自身が気力・体力の衰えを感じ始めたとき

上記6点のうち、上の4点は経営戦略としてのM&Aという色合いが濃く出ています。逆に下の2点は、事業承継を成功させるためという点が主な目的となっています。

社長

結局ベストな売り時はいつなのでしょうか?

齋藤さん

会社の状況・業界の状況・社長自身の状況によるため、正解は会社によって異なります。

ベストなタイミングの見極めについては、担当のM&Aコンサルタントともよく相談してくださいね。

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まとめ

PCとグラフ

M&Aの件数は毎年増え続けており、今後も増加の一途を辿ると予想されています。

しかし売り手が増える一方で、買い手の数はあまり増えていないため、供給過多の状態に陥っている現状がみられます。

供給過多の状態により、売り手間の競争が熾烈化する

熾烈な競争を勝ち抜いて会社売却を成功させるためには、「この会社が欲しい」と買い手から思われる売り手にならなければなりません。

買い手から求められる売り手になるには、以下のことを実行してください。

  1. 自社の強みと弱みを明確にし、シナジー効果の見込める買い手を探す
  2. 会社の磨き上げを行い、経営者が不在でも成長し続けられる仕組みを作り上げる
  3. 会社の売り時を見極めてM&Aを実行する
齋藤さん

熾烈な競争を勝ち抜いてM&Aを成功へ導きましょう!

社長

はい!ところで仕組み化のサポートをお願いできる場所はあるのでしょうか?

齋藤さん

「仕組み経営コーチ」の資格を持った人に相談すると良いですよ。ちなみに私も仕組み経営コーチの1人です。

社長

仕組み化の専門家がいるのですね。心強い!

齋藤さん

仕組み化には専門知識が必要なのです。専門家を上手に利用して、ぜひ仕組み化を成功させてくださいね。

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ABOUT ME
この記事を監修した人 齋藤 和寿
【インバースコンサルティング株式会社代表取締役】 後継者不足の解決や豊かなリタイアを望む経営者様に寄り添い「最幸のM&A」を実現するための情報を発信しています。 仕組み経営コーチとしても活躍中。会社の仕組み化×M&Aで、社長の人生を豊かに彩ります。