M&Aによる会社売却で豊かなリタイアを実現するためには、少しでも会社や自分にとって有利になるよう戦略的に売却を進める必要があります。
しかし自分の経営している会社にとってどれがベストな選択なのか、なかなか分かりづらいのが現状かと思います。
そこでこの記事では、会社売却で得られるメリットを解説するとともに、戦略的に会社を売却した事例を紹介しています。
どの選択がベストなのか、自分の会社を重ね合わせて考えてみてくださいね。
登場人物紹介
インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!
中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。
1章:M&Aによる会社売却で得られるメリット
M&Aの会社売却でメリットを得られる人は、以下の3つに区分でします。
- 社長個人
- 会社
- 従業員
それぞれが受けられる具体的なメリットは以下の通りです。
- 創業者利益の獲得
- 後継者不在問題の解決
- etc.
- 現状よりも資金が潤沢になる可能性
- 人材不足の解消
- etc.
- キャリアアップの可能性が広がる
- 大手資本の傘下に入ることによる雇用の安定
- etc.
上記のメリットのうち、どのメリットを最優先に考えるかをあらかじめ決めておき、計画的に会社売却を行うことを「戦略的な会社売却」と呼んでいます。
2章:具体例①完全同業の大手の傘下に入ったA社
まず最初に、同業種の大手傘下に入ったA社の事例をご紹介します。
この会社は売上・利益ともに毎年少しずつ落ちていて、このまま従業員を継続して雇用していけるのかという将来への不安を抱えていました。
そこで売上・利益が減少する構造を何とかしたいと考え、同業でノウハウや交渉力に優れた大手の傘下に入ることを目指したのです。
この会社はハッキリとした目標を持っていたことが功を奏し、無事に大手の傘下に入ることができました。そして社長の狙い通り、利益率の改善や取引先の拡大を実現し、経営も安定。従業員の雇用を守る結果へとつながったのです。
3章:具体例②多種類の事業を営む大企業グループの傘下に入ったB社
続いてご紹介するのは、従業員を雇って育成しても、育った頃にはキャリアアップのために退職されてしまう悩みを抱えたB社の事例です。
当時のB社はステップアップの環境が整っておらず、それが離職率に高さに直結しているような状態でした。
そこでB社社長は、従業員にとって魅力的なキャリアプランが描けるような会社にしたいと考え、普段の仕事そのものが新たなチャレンジとなるような多業種の事業を手掛ける大手グループ会社の傘下に入ったのです。
このM&Aは従業員にとってキャリアアップへの道が拓けただけでなく、元々B社が手掛けていた業務の案件に関してはグループ内でも重宝される結果となりました。
まさに、売り手・買い手ともにメリットを得られたM&Aの成功例といえるでしょう。
4章:具体例③事業展開をより加速させるためにファンドへ譲渡したC社
続いては大手の傘下に入ったA社やB社とは異なり、ファンドへ譲渡したC社の事例をご紹介します。
C社の社長は、ビジネスモデルは確立できたものの、ビジネスの拡大は自分に向いていないと感じていました。
しかし顧客の声を聞くと、C社が行っている事業は広く社会から求められていることが分かり「社会のためにビジネスを拡大するべきなのでは…。」と悩みます。
そこでC社の社長は、積極的に自社の拡大を支援してもらえる相手に会社を譲る決心をしたのです。
その際に自社のビジネスモデルとぶつかりそうな同業者への譲渡は難しいだろうと考え、事業色のないファンドへと譲り渡すことに決めました。
そして企業を上場を目指して拡大させることを得意とするファンドへの譲渡が無事に決まりました。
現在C社はファンドの力を借りて大きな会社へと成長させることでC社が社会的な公器となり、サービスを必要としている顧客へ広く行き渡ることを目指しています。
まとめ
M&Aで会社売却を行う際には、M&Aでどんなメリットを得たいのかをハッキリと見据えておくことが大切です。
M&Aに求めるメリットがしっかりと定まっていることで、どのような相手へ会社を売却するべきなのかが見えてきます。
また、M&Aの一連の流れの中では社長自身が決断しなくてはならないことがたくさん出てきます。その決断の判断基準となるのが、M&Aに求めるメリットになるのです。
M&Aによる会社売却を検討し始めるのであれば、まずはM&Aでどんなメリットを得たいのかということから考えてみるのも良いでしょう。