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後継者の育成に社長が失敗したときの対処法2選|M&Aで事業承継or廃業

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現在多くの中小企業では経営者の高齢化が進み、経営を後継者に引き継ぐタイミングを迎えています。

しかし後継者を指名し育てていくのは、決して簡単なことではありません。

事実、後継者の育成に失敗してしまう経営者も多く存在しています。

後継者がしっかりと育ち、事業をうまく引き継いでくれるのが最良なことは言うまでもありません。

しかしながらもし後継者の育成に失敗してしまった場合、社長はどのように行動するべきなのでしょうか。

この記事では、社長が後継者の育成に失敗してしまったときに選択すべき行動について解説しています。

後継者に事業を引き継ぐことは、誰にでもいずれ訪れる未来です。

「自分はまだまだやれる」と思っているうちに、検討しておくことをおすすめします。

1章:後継者の育成に失敗した社長が持っている選択肢は2つ

2枚のドア

後継者の育成に失敗したということは「後継者がいない」状態です。

そんな状況でもし自分の身に何かあったとしたら、会社が大混乱に陥ってしまうことが容易に想像できるでしょう。

最悪の場合、会社が倒産してしまうことだって考えられます。

この状態は会社にとって非常に危険な状態だといえるので、改善が急務です。

そこで後継者の育成に失敗した社長が選ぶべき選択肢には「M&Aで会社を第三者へ売却する」「会社を廃業し、清算する」の2つが挙げられます。

1-1 M&Aで第三者へ会社を売却する

1つめの選択肢は、M&Aで第三者へ会社を売却することです。

会社を売却するというのは、第三者へと事業を承継する方法であるともいえます。

会社売却による事業承継の多くは、株式譲渡という手法が用いられます。

株式譲渡とは自社の株を買い手企業に売却して、経営権を買い手企業へと引き継ぐ手法です。

つまり、売り手側は譲渡の対価として金銭を受け取り、買い手側は売り手企業の経営権を得るのです。

1-2 会社を清算する(廃業する)

2つめの選択肢は会社を清算することです。正確には廃業して会社を解散し、法人格を消滅させることを指しています。

廃業というと倒産のイメージがあるかもしれませんが、必ずしもそうではありません。

近年では黒字経営であるにも関わらず、後継者がいないという理由で廃業を選択する中小企業が増加傾向にあります。

2章:会社売却と清算のメリット・デメリット

メリットデメリット

後継者の育成に失敗した社長が持っている2つの選択肢ですが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。

会社売却か清算か、ご自身の経営する会社は果たしてどちらの方法を選ぶべきなのかをしっかりと見極めるためにも、それぞれのメリットとデメリットを理解しておきましょう。

2-1 会社売却のメリット

会社売却で得られる最大のメリットといえば「会社が存続すること」が挙げられます。

さらに会社が存続することにより、以下のメリットが期待できます。

  • 今まで育て上げてきた会社の事業を買収先企業に承継できる
  • 従業員の雇用が守られる
  • 事業の更なる成長を期待できる
  • 株式譲渡の対価として、金銭を受け取ることができる
  • 社長個人の連帯保証や個人資産の抵当権を解除できる

会社が存続すれば、今まで苦楽を共にしてきた従業員たちの生活を守ることが可能です。

さらに社長自身は会社の売却益を受け取るので、「豊かなリタイア」が実現する可能性が高まります。

2-2 会社売却のデメリット

豊かなリタイアへの可能性を秘めた会社売却ですが、デメリットも存在します。

  • そもそも買い手が見つからない可能性がある
  • 思っていたよりも安値で買いたたかれる可能性がある
  • M&A業者や弁護士などへの仲介手数料がかかる

事業を継承したいと考えて会社売却を決断しても、そもそも買い手が付かないと売却へは至りません。

またM&Aには専門的な知識と経験が必要なため、M&A業者との契約が必須となりますが、良い買い手と巡り合い、理想的な価格でのM&A実現のためには、良いパートナー選びが重要となってきます。

2-3 清算のメリット

無人のオフィス

会社売却ともう一つの手段である会社清算のメリットは、「社長個人が会社の未来を心配する必要がなくなる」ことです。

M&Aで会社を売却し経営が第三者の手に渡ったとしても、自分の経営していた会社の行く末が気になるという人は多く存在します。

しかし会社を清算してしまえば、法人格が消滅し会社そのものがなくなるため、「自分の代でキッパリ会社を終わらせたい」と考えているのであれば、清算を検討しても良いでしょう。

2-4 清算のデメリット

会社の未来を心配する必要がなくなる清算ですが、実は多くのデメリットが存在します。

  • 従業員を全員解雇しなくてはならない
  • 残債務の処理が必要
  • 取引先や顧客との間にトラブルが発生する可能性がある
  • M&Aと比べたら手元に残るお金が少なくなる

会社を廃業して清算するということは、今まで動いていた事業を全てストップさせて白紙の状態に戻すということです。

苦楽を共にしてきた従業員は職を失い、年齢などによっては再就職が難しい従業員が出てくるかもしれません。

さらに長年お世話になってきた取引先や顧客からは、信用を失う可能性が出てきます。

会社を清算する際に従業員や取引先などとトラブルが発生すると、訴訟に繋がるケースもあるので注意が必要です。

また、残債務の処理が思ったようにいかず債務を返済しきれなくなると、社長個人が自己破産しなくてはいけなくなる可能性も残っています。

3章:会社を売却するために必要な手順と期間

上昇イメージ

M&Aで会社を売却する手順は、ざっくりと5つのステップに分けられます。

  1. 事前準備(財務内容の整理および事業計画の作成など)
  2. M&A業者との契約~企業概要書の完成
  3. 買い手探索~基本合意契約の締結
  4. デューデリジェンス(買収監査)
  5. 最終条件交渉~クロージング

上記5つのステップ全体にかかる期間は、最低でも6ヶ月~1年以上です。

中には「なるべく早く会社を売却したい」と考える人もいるかもしれません。しかし売却を急ぐと、想定していた売却価格に届かないなどの失敗に繋がってしまう可能性があります。

焦らずじっくりと「売り時」を待つ方が「豊かなリタイア」への展望が開ける可能性が高いので、会社を売却する際には期間に余裕を持って計画を立てましょう。

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4章:会社を清算するために必要な手順と期間

手帳とコーヒー

会社を清算するためには、まず株主総会で会社の解散を決定するところから始まります。

解散の決定から会社清算までのおおまかな流れは以下の通りです。

  1. 株主総会の特別決議による解散決議
  2. 清算人の登記(解散日から2週間以内)
  3. 各機関へ解散の届出を提出
  4. 財産目録および貸借対照表の作成
  5. 債権者保護手続き
  6. 解散確定申告書を所轄税務署へ提出
  7. 資産の現金化・債務弁済・残余財産の確定および分配
  8. 清算確定申告書を所轄税務署へ提出(残余財産確定日の翌日から1ヶ月以内)
  9. 決算報告書の作成および承認
  10. 清算結了の登記(決算公告の承認から2週間以内)
  11. 各機関への解散の届出

会社を清算するには、最短でも2ヶ月以上の期間が必要となります。

ただし会社の規模が大きかったり、所有する不動産の売却が難航したりした場合には長期化する可能性があり、清算完了までに何年もかかってしまうケースも出てきます。

5章:会社売却と清算の選択肢を比較して選ぶ

比較イメージ

会社売却と清算の選択肢には、それぞれメリットとデメリットがあります。

しかし総合的に考えると、事業を存続させられる・従業員の雇用が守られる・豊かなリタイアが実現できるといったメリットを持つ会社売却を選ぶことをおすすめします。

さらに会社売却には上記のメリットの他にも、解散・清算の手続きを省略できるという利点も併せ持っているのです。

ただしM&Aが確実に成功するという保証はありません。一般的にM&Aの成功率は3~5割程度だといわれており、残念ながら失敗してしまう可能性もあります。

M&Aによる会社売却を成功させるためには、プロのアドバイスを受けることが重要です。

いくつかのM&A会社を比較検討し、信頼できるパートナーを選びましょう。

まとめ

両手を広げるビジネスパーソン

後継者の育成に失敗した社長が選ぶ選択肢には、会社売却と清算の2つがあります。

どちらの選択肢も手続きが煩雑で、全てが完了するまでには長い期間が必要となり、手数料などの費用も多額になる傾向があります。

しかし会社を残し、従業員の雇用を守ることができる選択肢は会社売却のみです。

また社長個人が豊かなリタイアを実現するためにも、選択するべき方法は会社売却です。

後継者のいない会社を安心して引退し豊かなリタイアを実現するために、M&Aによる会社売却を有効に活用してください。

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齋藤 和寿
【インバースコンサルティング株式会社代表取締役】 後継者不足の解決や豊かなリタイアを望む経営者様に寄り添い「最幸のM&A」を実現するための情報を発信しています。 仕組み経営コーチとしても活躍中。会社の仕組み化×M&Aで、社長の人生を豊かに彩ります。
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