M&A

のれん代を分かりやすく解説|M&A売却価格アップのポイントも教えます

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社長

M&A用語に「のれん」ってありますよね?あれは一体何を指しているのでしょうか。

齋藤さん

お店の入り口に掛かっている「のれん」のイメージが出てきますよね。

M&Aには、「のれん」という概念が存在します。あまり聞きなじみのない言葉ですが、実はのれんは、会社の売却価格に大きな影響を与えているのです。

この記事では、のれんとのれん代について分かりやすく解説し、M&Aによる会社売却価格をアップさせるコツもご紹介します。

齋藤さん

のれんについての理解を深め、M&Aの成功を実現させましょう!

1章:M&Aにおけるのれんとは

のれん
のれんとは

企業が保有する無形固定資産のこと

無形固定資産とは、目に見えない資産を指しています。

つまり、会社が持っている目に見えない資産を「のれん」と呼びます。

齋藤さん

ソフトウエアなどの目に見える資産とは異なり、決算書には記載されない点に注意してください。

のれんの具体例

ブランド力・特許・著作権・商標権・企業文化・企業理念・ビジョン・ミッション・技術・ノウハウ・経営管理プロセス・業務フロー など

社長

目には見えないけれど、価値があるものというイメージですね。

齋藤さん

その通りです。Appleのデザインや無印良品の店舗マニュアルなどをイメージしてもらうと分かりやすいですよ。

1-1 のれん代とは

のれん代とは、その名の通り「のれん」に付いた価格を指しています。

通常M&Aで会社の売却価格は、目に見える価値(資産)と目に見えない価値(のれん代)を合算して算出されます。

齋藤さん

のれんは将来的に買い手に利益をもたらす可能性を秘めているため、のれん代=売り手への期待値ともいえるんですよ。

社長

なるほど。のれん代が高いほど、私たち売り手に対する期待値も高いというわけですね。

1-2 のれん代の算出方法

のれん代は、以下の計算式で算出します。

のれん代=会社の売却価格-純資産

※純資産とは、会社の資産(会社が集めたお金)から負債(いずれ返済する義務のあるお金)を引いた金額です。

売却価格イメージ
齋藤さん

例えば会社の売却価格が5億円で純資産が4億円だった場合、のれん代は1億円となります。

1-3 のれん代は買い手が決める

電卓と小銭

のれん代=売り手への期待値であることからも分かるように、のれん代は買い手が決めます。

社長

売り手である私たちが決めるものではないのですね。私たちにできることはないのでしょうか。

齋藤さん

のれん代は買い手が決めますが、のれん代をアップさせるための対策と努力はできますよ。

1-4 「負ののれん」も存在する

実は「のれん」という概念は、価値のある資産だけを指すものではありません。

会社の売却価格が純資産を下回る際に発生する「負ののれん」も存在します。

純資産:3億円
売却価格:2億円 の場合

のれん代=2億-3億=-1億

負ののれんが発生する原因には、売り手企業が何かしらの大きな問題を抱えていることが考えられます。

負ののれんが発生する原因
  • 多額の簿外債務が見つかった
  • 毎年赤字になっている
  • 訴訟リスクを抱えている など
齋藤さん

負ののれんはないに越したことはありません。しかし買い手にとっては「お値打ちに買収できる」というメリットがあるため、一概に悪とも言い切れないのが負ののれんなのです。

社長

少しでも多くの売却益を得たいと思っている私は、負ののれんは撲滅させたいです!!

齋藤さん

分かりました(笑)次章からは、のれん代をアップさせる方法をみていきましょう。

2章:M&Aで会社の売却価格をアップさせるには

積まれたお金

M&Aで会社の売却価格をアップさせればさせるほど、売り手である社長はより多くの売却益が得られます。

齋藤さん

会社売却後の生活を豊かなものにしたいのであれば、できるだけ良い条件で売りたいですよね。

売却価格アップのために必要な要素は以下の2点です。

  1. 会社の純資産を増やす
  2. 会社の価値を高めてのれん代をアップさせる
齋藤さん

上記2点をそれぞれ高めて、相乗効果で売却価格のアップを目指しましょう!

2-1 純資産を増やす

売却価格アップのポイント1つめは、純資産を増やすことです。

純資産を増やすためには、利益余剰金を増やすことが重要

利益余剰金とは…企業が生み出した利益を積み立てたお金

つまり利益を上げて、その利益を利益余剰金として積み立てておくのです。

○営業利益の増加はのれん代アップにもつながり一石二鳥

栄魚利益のアップ=売却価格のアップ

営業利益が増えると、純資産も増えます。純資産の増加はそれだけでも売却価格のアップにつながりますが、営業利益はもう一つ価値を持っています。

営業利益は買い手側にとっても買収金額回収の目安となる=のれん代アップへつながる

営業利益は高ければ高いほど、買い手は買収金額を早期に回収できると判断します。

そのため、買い手にとってより一層魅力的な会社だといえるのです。

齋藤さん

魅力的だということは、売り手に対する期待値が上がるということですよね。

社長

なるほど。期待値アップ=のれん代もアップですね!

○役員報酬を減額する選択もアリ

純資産を増やす方法としては、社長が受け取る予定だった役員報酬を減額し、その金額を会社の純資産として置いておくのも1つの方法です。

社長

うーん…。それだとM&Aが完了するまで減額分は私の資産にはならないってことですよね?M&Aが成功する保証もないし…。

齋藤さん

確かにそうですね。しかし税金面では、役員報酬より株式譲渡の方が税率が低いのです。トータルで考えると、株式譲渡を成功させた方が手取りが増える可能性が高くなる場合もありますよ。

  • 役員報酬=累進課税+社会保険料=50%程度課税される可能性
  • 株式譲渡=譲渡額に関わらず一律で20.315%の課税
社長

はぁーなるほど。複雑で奥が深いですね!

Icatch0015.
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○経費の見直しも重要

節税のために、本業とは無関係な経費を使っている社長も多く存在する現実があります。そのような経費をしっかり算出して、営業利益の修正を行いましょう。

社長

うっ…。耳が痛い…。

齋藤さん

私たちM&Aコンサルタントが私的な経費の内容を調査・ヒアリングして、営業利益を適切に修正していきますのでご安心くださいね。

2-2 会社の価値を高めてのれん代アップを狙う

グラフが記載された書類

会社の売却価格を高めるためのもう1つのポイントが、のれん代を底上げすることです。

社長

「目に見えない資産」を増やすということですよね。私たちに今更できることはあるのでしょうか…。

齋藤さん

ご安心ください。今からでも会社の無形固定資産は増やせます!

のれん代のアップを目指すためには、まず自社の強みと弱みを明確にしてください。

齋藤さん

強みをさらに伸ばし、弱みは克服のための対策を練りましょう。

そしてどの業種の会社であっても、のれん代を増やせる可能性が高い取り組みとして、社内の改革が挙げられます。

  1. 企業理念・ビジョン・ミッションのブラッシュアップ
  2. 経営管理プロセスの見直し
  3. 業務フローの見直し など

上記の取り組みを行い社内改革が成功すると生産性がアップします。その結果として利益率が上がり、のれん代の増加につながるのです。

社内改革の成功→のれん代アップへ
齋藤さん

販路やノウハウなど、他社と比べて飛び抜けた強みが見つからない会社でも容易に取り組めますよ。

社長

なるほど。より効率的に仕事ができる仕組みを作るわけですね。

齋藤さん

その通りです。詳しくは4章で解説しています。気になる方はジャンプしてくださいね。

2-3 純資産増+のれん代増の相乗効果を目指す

会社の売却価格を極限まで高めたいのであれば、純資産増とのれん代アップのどちらかでは足りません。

純資産・のれん代の双方を底上げして、相乗効果で売却価格のアップを目指しましょう。

相乗効果
社長

せっかく会社売却を行うなら、純資産とのれん代のどちらもアップさせたいですね。

齋藤さん

その意気です!前述しましたが、営業利益の増加を特に意識すると良いですよ

営業利益の増加は純資産・のれん代ともにアップさせられる可能性があるため

3章:のれん代アップのためには買い手選びも重要

ビジネスマンどうしの握手

のれん代は買い手が決めるため、買い手候補によって設定価格が異なります。そのためより高いのれん代を望むのであれば、買い手選びが重要になってきます。

シナジー効果の見込める買い手ならのれん代アップの可能性

シナジー効果とは、2社の統合により1+1以上の価値を生み出すことを指しています。

シナジー効果によるのれん代アップを見込める例
  • 買い手が自力で入手することが困難な技術やノウハウを持っている
  • 買い手が1から作り出すと時間がかかり過ぎてしまうシステムや販路を持っている
  • 買い手が今から新規参入しても覆せない競争優位性を持っている

つまり買い手に「自前で作り上げていくより買った方が早くて確実」だと思わせる要素を持っていると、のれん代アップのチャンスなのです。

齋藤さん

逆にいうと、自社の強みを使えば業績が上がりそうな買い手を探すことが、のれん代アップのポイントです。

社長

「我が社のノウハウを使えば御社の業績が上がります!」とアピールすればいいのですね。

齋藤さん

そのイメージでOKです。そのためには買い手候補企業をしっかりと研究しておくことも大切ですね。

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4章:会社の仕組み化で更なるのれん代アップを目指す

貼ってあるたくさんのメモを見る男性

のれん代アップのために、どの業種でも今から取り組める対策が会社の仕組み化です。

会社の仕組み化とは

属人的な仕事を排除し自社独自の再現性のある仕事のやり方を作ること

つまり特定の人に頼らなくても会社が回り、利益を上げ続けられる仕組みを作ることを、会社の仕組み化と呼んでいます。

仕組み化が完成すると、それ自体が会社の独占的な資産となる

齋藤さん

仕組み自体が会社の無形固定資産になり、のれん代のアップが期待できるのです。

社長

仕事の仕方を変えていくのであればさっそく今からでも取り組めそうですね。仕組み化の方法などを教えてくれるプロはいるのでしょうか。

齋藤さん

仕組み経営コーチである私にぜひ一度ご相談ください。

ご相談・お問い合わせページはこちらです。

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まとめ

紙飛行機

「のれん」とは会社が有する無形固定資産のことで、具体的にはブランド力・技術・ノウハウ・業務フローなどを指しています。

「のれん」に価格を付けたものがのれん代で、のれん代は以下の計算式で算出されます。

のれん代=売却価格-純資産

のれん代は買い手が付けるものであり、明確な基準はありません。

そのため提示されるのれん代は、買い手候補によって異なります。会社の売却価格をアップさせるポイントは、以下の3点です。

  • 純資産を増やす(特に営業利益を意識)
  • のれん代をアップさせる
  • のれん代をアップしてくれそうな買い手を選ぶ(シナジー効果への期待)

のれん代をアップさせるためには、まず自社の強みと弱みを明確に把握することが大切です。

またのれん代をアップさせるための方法としては、会社の仕組み化が有効です。

齋藤さん

純資産増とのれん代アップの相乗効果で、売却価格を極限まで高めましょう!

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ABOUT ME
齋藤 和寿
【インバースコンサルティング株式会社代表取締役】 後継者不足の解決や豊かなリタイアを望む経営者様に寄り添い「最幸のM&A」を実現するための情報を発信しています。 仕組み経営コーチとしても活躍中。会社の仕組み化×M&Aで、社長の人生を豊かに彩ります。
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