M&A

M&Aサービスの質は会社の大きさでは決まらない「3つの理由」

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以前の記事で「M&A会社を選ぶ4つのポイント」を書かせていただきましたが、今回はその中の「M&Aサービスの質は会社の大きさでは決まらない「3つの理由」」についてより詳しく解説します。

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初めにお伝えしたいことは、実はM&Aサービスの質というのは会社の大きさでは決まりません!ということです。

例えば製造業のような業態であれば、会社の規模や資産状況が製造設備・人材の質に大きく関わってきて、結果的にサービス・製品の質に影響を与えます。

しかし、M&Aサービスは会社の規模・資産状況が与える影響が少なく、完全にノウハウ(を持ったコンサルタント)に依拠しているためです。

そのため、大手ほど質が低いサービスになることもあり得るわけです。

ここは「M&A会社の都合」の部分ですが、、 ここではそのメカニズムをご理解いただき、M&A会社を選ぶ目を養っていただきたいと思います。

1章:M&Aの実務に会社組織の大小はほぼ無関係

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ここでは、なぜ無関係なのか、主にM&Aサービスの実務を見て理解しましょう。

1-1 M&Aサービスの「3つの工程」

M&Aは大きく分けると「案件化」「マッチング」「クロージング」の3つの工程で進んでいきます。

➢案件化

売り手オーナー様と契約を結ぶと、まずは案件化と呼んでいる「資料収集・ヒアリング・会社情報のまとめ」といったことを行います。

よく結婚に例えられるM&Aですが、お見合い写真やプロフィールが記載された資料を作る工程に当たります。

資料の集まり具合にもよりますが、大体2週間~1か月程度で完成します。

➢マッチング

ここからお相手探しに移り、大体2か月程度で3~5社の有力候補先との面談等を経て、最有力候補1社に絞ります。

最後に基本的な条件について合意をしたらいよいよ最終段階に進んでいきます。

➢クロージング

1つ手前のマッチング段階で基本的な条件に合意しましたが、まず初めに買収監査と呼ばれる専門家による調査を実施することになります。

先ほどの段階では全ての会社資料を見せているわけではないため「お見合い写真では見えない点」や「お見合い写真の情報が正しく記載されているのか」といった点を見ていくことになります。

真実の姿を見極めた上で、合意済みの「基本的な条件」をベースに「最終条件」を双方で決定していくこととなります。

最終条件に双方が合意しましたら、「株式譲渡契約書」を締結・資金決済し、M&Aが完了します。

1-2 200人のM&A会社 vs 5人のM&A会社

比較イメージ

進め方をご覧いただいていかがでしょうか?

当たり前ですが、なにか特殊な設備が必要であるとは到底考えられないと思います。

既にご存知かもしれませんが、M&Aサービスはコンサルタントが資産であり商品・サービスになるのです。

それではコンサルタントを多く抱える大会社が良いのでしょうか?

仮に、同じレベルのコンサルタントが200人もいる大会社と5人の会社を比較した場合、1案件あたりに割く人数が40倍になり、手厚すぎる赤字サービスを提供するのでしょうか!?

お答えする必要もないと思います。

単純に40倍の案件を扱っているだけのお話です。

ここでの結論ですが、「大会社=質が高い」はほぼ無関係であることがお分かりいただけたと思います。

1-3 会社の規模が大きいことによるプラスの影響について

それではなんの影響も無いのかと言えば、そうではありません。

今回の記事の主題ではないため簡単に記載しますが、以下のような影響が考えられます。

『扱う案件が多いため、個別案件から得られる情報の蓄積が必然的に多くなり、M&Aの工程の中で発生する特殊事情への対処が容易になります。』

『過去の買い手先の情報(リスト)が多く蓄えられています。』

簡単にまとめてしまえば、情報が多く蓄積されていることでの優位性は確かに存在しているといえます。

ただ、100件に1件あるかないかの細かい論点(情報)の蓄積は重要ではなく、ある程度の論点(情報)の蓄積までで実務上は十分であると考えています。

2章:M&Aのノウハウは全てコンサルタントに蓄積されるビジネスモデルだから

チェス

理由1で会社の大小はほぼ無関係であることをご理解いただいたかと思います。

ここではM&Aコンサルタントに焦点を当てて見ていきます。

2-1 M&Aのノウハウを分解して考えてみる!

まずは、コンサルタントに蓄積されているノウハウを2つに分けて見てみましょう。

①M&Aに必要な「知識」

②M&Aを実践する中で培った「経験」

上記は同じ知識とも言えますが、ここではあえて「知識」と「経験」に分けてみました。 経営を切り盛りされてきたオーナー様にはよくご納得いただくのですが、やはり頭だけで知っていることと、経験で知っていることの間には大きな隔たりがあります。

2-2 知識と経験はどのように蓄積されていくのか!?

M&Aは大体6か月~1年近くかかることが多く、年間のコンサルタント1人当たりの成約件数は2件弱とも言われています。

M&A会社によって1人当たり成約件数は異なりますし、案件の内容によって得られる経験値が大きく変わりますので一概に決めつけることはできませんが、やはり「経験」によって得てきた「実践知」が重要です。

このように見ていくと、「理由1」で記載していた情報の蓄積が「知識」の方に分類されることがお分かりいただけると思います。

これが、「ほぼ」無関係と記載していた理由です。

重要なことはコンサルタントの「実践知」を見極めることだと言えます。

2-3 「実践知」の見極め方

分かりやすい指標としては「担当した案件の種類」「成約した案件の件数」等が有効です。 もちろんそれだけでは盛っている可能性もあるため、単純に鵜呑みにはできません。

「過去の案件の具体的なストーリーを語らせること」や「具体的な問題点やそのときの対処方法」などを上手く質問することによって見極めていきましょう。

3章:担当M&Aコンサルタントとの「信頼関係」が重要になる

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理由2では実践知の蓄積が重要であるとお伝えしましたが、それだけでは不十分です。

「まだあるのか、、」と疲れてきたかもしれませんが、一生一度かもしれない重要なM&Aですので、妥協せずに見ていきましょう!

3-1 商売の大原則「信頼関係」が重要!

お互いに信頼し合っている方が良いのは言うまでもありません。しかし、M&Aにおいては殊更重要になってきます。

具体的にはM&Aコンサルタントに対する「隠し事」がオーナー様にとって致命的なマイナスとなって跳ね返ってくるのです。

3-2 オーナー様にとっての致命的なマイナスとは!?

これは実際に起こった事例ですので、これからM&Aをお考えのオーナー様はお気をつけください。

結論から申し上げると、オーナー様の会社の価値である「取引価格」が隠し事があったがために有力な買い手候補先からの強い要望により引き下げられるという結果となってしまいました。

具体的には売掛金に回収不能の債権があったにも関わらず、「回収不能な債権は無い」との申告をされていました。

実務的なお話を言えば、回収不能分の金額を減額するのが一般的なのですが、買い手候補としては「信頼できない相手」といった理由でそれ以上の減額となり、危うく破談となるところでした。

3-3 信頼できるコンサルタントをパートナーに!

私は、単純にお金だけの問題ではなく、M&Aにおいては信頼できるM&Aコンサルタントをパートナーに選ぶことが非常に重要だと思っています。

「これを伝えたらマズいのではないか」と考えるオーナー様もそれなりにいらっしゃると思いますが、買収監査の時点や売却後にいずれ発覚します。

その時のダメージは計り知れませんので、まずM&Aをスタートする最初の時点でM&Aコンサルタントを選ぶことが本当に大事であることをお伝えさせていただきます。

まとめ

ビジネスパートナー

今回の記事ではM&A会社の大きさは関係なく、M&Aコンサルタントが重要であること及びその理由を記載しました。

一言でまとめると「オーナー様が安心して相談できるパートナーであるかどうか」が結局はM&Aで一番重要だと思っています。

細かいお話になってしまいましたが、この視点で持ってM&A会社を見極めてください。

  1. M&Aの実務に実は会社組織の大小はほぼ無関係
  2. M&Aのノウハウは全てコンサルタントに蓄積されるビジネスモデル
  3. 担当者との「信頼関係」が重要

今回も最後までお読みいただきありがとうございました!

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齋藤 和寿
【インバースコンサルティング株式会社代表取締役】 後継者不足の解決や豊かなリタイアを望む経営者様に寄り添い「最幸のM&A」を実現するための情報を発信しています。 仕組み経営コーチとしても活躍中。会社の仕組み化×M&Aで、社長の人生を豊かに彩ります。
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