会社を存続させるというのは、実は非常に難しいことです。創業からわずか10年の間に、9割近くもの会社が廃業するというデータがあるほどです。
しかし全ての経営者にとって、廃業は「できればしたくないもの」であり「避けたい事態」なのではないでしょうか。
そこで本記事では、会社が存続し続けるために必要な7つのポイントと、業績悪化や資金繰りの悪化など解決したい問題別の対処方法について解説します。
会社を末永く存続させたい経営者様は、ぜひ本記事を参考にしてください。
登場人物紹介
インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!
中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。
1章:会社存続のために必要なこと7選

会社が存続危機を迎えないために、経営者が押さえておきたいポイントは主に以下の7点です。
それぞれのポイントについて、詳しくみていきましょう。
1-1 資金をしっかりと確保しておく
資金繰りが悪化すると、経営を維持することが難しくなります。そのため資金の確保は、会社を存続させるための非常に重要な要素だといえるでしょう。
経営者であれば、当然気を付けていることですよね。
おっしゃる通りです。しかし現実に、きちんと状況を把握していないがために会社を潰してしまう事例が存在します。会社存続のため、とにかく資金の状況だけは経営者自身が常に把握していてくださいね。
それに万が一キャッシュが不足した場合でも、すぐに資金が調達できるとは限りません。日頃から資金繰りには十分注意してください。

1-2 常に革新を続ける
経営でよく使われる言葉に「不易流行」があります。不易は時代が変わっても変えるべきでないもの、流行は時代が変われば変えていくべきものです。
会社にとっての不易は、会社の使命や価値観を指します。
会社を長く存続させるために必要なのは、一貫した使命や価値観を持ち、時代の変化に合わせて商品や業態を変化させていくことです。
市場の変化が厳しい昨今を生き抜くために、時代のニーズを的確にとらえましょう。
また事業展開の変化に応じて組織再編を行うなど、臨機応変に対応できる経営戦略が求められます。
1-3 社会貢献度の高い事業を展開する
会社を長く存続させるためには、社会貢献度の高い事業展開が求められます。
なぜなら、社会貢献度の高い事業はニーズが高く、必然的に取引先や顧客が増えるからです。
ただしニーズは常に変化しています。「今」求められているものは何かを敏感にキャッチし、柔軟に対応していくことが重要です。
1-4 コスト削減に取り組む

会社を長く存続させるためには、無駄を減らすことも大切です。たとえ業績が良く売上が伸びていても、利益が出ないと経営状態を圧迫してしまいます。
そして利益が出ない一因となるのが、無駄なコストです。特に毎月の固定費は定期的な見直しをおすすめします。
事務所や倉庫は必要以上に広くないか、使っていない月極駐車場を契約したままになっていないか、設備の使用頻度と維持費のバランスは取れているかなど、コストの見直しを図りましょう。
無駄なコストを削減すれば資金繰りに余裕が生じ、業績アップにもつながります。
1-5 仕組み化で業務を効率化する
仕組み化とは、人に依存することなく業務が回る仕組みを社内に構築することです。
会社を仕組み化すると業務が効率化し、従業員のパフォーマンス向上や生産性アップが期待できます。
また社内業務の引き継ぎを仕組み化すると、異動や退職があった際に仕事が正常に引き継がれ、業務の停滞がありません。
業務を効率化することで無駄がなくなり、コストの削減にも期待が持てます。
さらに仕組み化は、事業承継の際も非常に役立ちます。なぜなら社長の仕事を仕組み化することで、社長の交代がスムーズに実現するからです。
混乱なく事業承継が行われれば、会社の存続率は向上します。

1-6 早期に後継者を指名・育成しておく
後継者不在が原因で廃業する中小企業が増えています。このような事態を避けるためには、早い時期から後継者を指名し、育成を始める必要があります。
一般的に後継者の育成には、5年~10年程度の時間が必要です。経営者自身の年齢も考慮して、早めに準備を始めましょう。
親族や従業員の中から後継者候補が見つからない場合は、次期経営者を外部から招へいする選択肢もあります。
https://inverse.co.jp/inverse_blog/a-company-without-a-successor/1-7 M&Aで第三者に経営を委ねる
会社を存続させるために、M&Aを活用する選択肢もあります。
たとえば後継者不在で会社存続の危機に立たされている場合は、M&Aで第三者へ経営権を譲渡することで後継者問題を解決できるのです。
また業績が悪化している場合でも、M&Aでパートナーとなった会社の経営資源を活用することでシナジー効果を創出し、業績が改善する可能性があります。


2章:【ケース別】会社存続のために取るべき行動3パターン

会社が存続の危機に陥った場合、何から対策を行うべきか迷うこともあるでしょう。
ここでは、会社が存続の危機に瀕した際に取るべき行動を、ケース別に紹介します。自社のケースに近いものを選んで、参考にしてください。
2-1 業績悪化が原因で会社が存続危機に陥っている場合
業績悪化により会社の存続が脅かされている場合は、業績の改善が急務です。
業績改善のために取り組むべきことは、主に以下の4点です。
- 革新
- 社会貢献度の高い事業展開
- コスト削減
- 仕組み化
業績が振るわないのはもしかしたら、時代に合ったニーズを捉えられていなかったり、社会貢献度の高い事業を展開していなかったりすることが原因かもしれません。
自社の製品やサービスが時代のニーズに即したものであるか、今一度検討してみましょう。ニーズに合っていない場合は、早急に改善へ取り組んでください。
売上の向上と同時に取り組みたいのが、無駄を削ることです。コストの削減はもちろん、仕組み化で業務の無駄も省きましょう。
2-2 資金繰りの悪化が原因で会社が存続危機に陥っている場合
資金繰りの悪化により会社が存続危機に陥っている場合、とにかく資金の確保が必要です。まずは金融機関に、融資の相談を行ってください。
その他の手段として、売掛金(売掛債権)や遊休資産を売却して対応する選択肢があります。
ただし売掛金(売掛債権)の売却には審査があるほか、一定の手数料が差し引かれる点には留意が必要です。
遊休資産とはどのような資産を指すのでしょうか。
事業に使用する目的で取得したものの、使用していない資産のことです。具体的には、不動産や機械類などが挙げられます。
たしかに弊社にも今は使わずにホコリをかぶっている機械があります…。「いつか使うかも」とか「せっかく買ったんだから」と思って処分に踏み切れないんですよね。こういうのを遊休資産というんですね。
遊休資産は保有しているだけで税金などのコストが発生する場合もあるため、売却して現金化すれば資金繰りにもプラスの影響を期待できますよ。
資金確保の施策と共に、業績を伸ばす工夫も行いましょう。業績を伸ばす工夫については、2-1で述べた革新・社会貢献度の高い事業展開・コスト削減・仕組み化の4点です。

2-3 後継者の不在が原因で会社が存続危機に陥っている場合
後継者がおらず自分の代で会社が終わってしまうのではないかという場合は、後継者問題の解決が望まれます。
経営者の子どもや親族、従業員の中に後継者としてふさわしい人物がいるのであれば、後継者として指名し育成を開始してください。
ただし前述の通り、後継者の育成には一般的に5年~10年程度の期間が必要だといわれています。経営者の年齢等も考慮し、早めに対策を講じましょう。
親族や従業員など身近に後継者候補がいない場合は、外部から次期経営者を招く選択肢があります。
他社の社長や金融機関から招くケースや、後継者マッチングサイトを利用して後継者探しを行うケースが該当します。
また、外部から次期経営者を招く選択肢の中にM&Aも含まれます。
M&Aを検討する際は、仕組み化を実行するなどして会社の価値を高めておきましょう。より高値で取引できる可能性が高まります。

3章:安心して次代へ会社を引き継ぐためには

安心して次代へ会社を引き継ぐには、「後継者に引き継ぎたいと思われる会社作り」が必要です。なぜなら、将来が不安な会社を引き継ぎたいと思う人はいないからです。
日頃から会社存続のために必要なことを実行しておけば、会社存続の危機に陥りにくい状態を作り出せるでしょう。
そうなれば後継者候補にとっても「安心して引き継げる会社」「喜んで引き継ぎたい会社」になります。
後継者がまだ決まっていないという場合は、早急に解決方法を検討し対策を講じてください。
まとめ

会社存続のために必要な行動は、主に以下の7点です。
- 資金をしっかりと確保しておく
- 常に革新を続ける
- 社会貢献度の高い事業を展開する
- コスト削減に取り組む
- 仕組み化で業務を効率化する
- 早期に後継者を指名・育成しておく
- M&Aで第三者に経営を委ねる
もしご自身の経営する会社が存続危機に陥った場合は早急に原因を見極め、適切な対策を講じてください。
また、会社を次代へ引き継いでいくために大切なのは、後継者が「引き継ぎたい」と思えるような会社作りです。
たとえ会社存続の危機に陥っていなくても、上記の7点は普段から意識的に実行することをおすすめします。
一刻も早い解決を望むときは、専門家のサポートを受けましょう。



