M&A

あなたの会社を高く売るための【本質】と【3つの条件】を簡単解説

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今会社売却を考えている人も将来会社売却を考えている人も、「どうせならより良い条件で売却したい!」と考えているのではないでしょうか?

当社も手塩に掛けた会社を安く売りたいと考えている人には今まで一度も会ったことがありません。

しかし、肝心の良い条件で売却する方法が分からない方がほとんどではないでしょうか。

そこでこの記事では、少しでも高く売りたいと考えている

「今すぐ売りたい人」
「将来売りたい人」

どちらの立場の方でも分かるように

  • 高く売るための3つの条件
  • 「自分でできること」と「M&A業者ができること」の区別
  • 将来の会社売却価格を上げる方法
  • 「依頼してはいけないM&A業者」の基準

について解説してきます。

この記事をお読みいただいているということは、他にも様々なサイトや本で情報収集をされていると思いますがピンと来るものが無いのではないでしょうか。

その中には「会社価値の算出方法を知る」であったり、「高く売るためのスキーム選定」や「高く売るための交渉方法」といったことが書かれていると思います。

極端な例を挙げると「許認可の有無」といった、既に事業をスタートしている方にとってはどうすることもできない条件まで目にしたことがあります。

もちろんこれらは間違いではないのですが、会社売却をスタートさせる直前か直後の話しの一部であったり、網羅・整理されているとは思えません。

また、「今すぐ売りたい人」と「まだ売らなくて良い人」では「高く売るためにやれること」が大きく変わってきます。

この記事を読み終える頃には、会社を高く売るための基礎となる考え方ややるべきことが明確になっていることと思います。

登場人物紹介

齋藤さん

インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!

社長

中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。

1章:高く売るためには買い手の考えを理解する

メモの前で考えている男性

M&A(会社売却)とは、売り手と買い手がいて初めて成立取引です。つまり、高く売るためには、買い手の立場も理解する必要があります。

買い手の基本的な3つの考え方は以下の3つです。

  1. 投資の回収
  2. 財務内容を見る
  3. 売り手への依存度を見る

売り手が「自分の会社を高く買ってください」と言ったところで、会社は高く売れるものではありません。

なぜ他の買い手よりもこの買い手は高い値段を出すのか?

それは、その値段で買ってもメリットがあると考えているからです。

売り手は高く売りたい × 買い手は安く買いたい

という基本的な利益相反構造はもちろんありますが、売り手と買い手双方が(少なくとも取引成立までは)Win-Winになっていることが「取引成立の前提」になっています。

つまり、ここを理解せずに良いM&Aをすることは難しいと言えます。

この1章では買い手の基本的な3つの考え方をお伝えすることで、高く売るための条件について解説していきます。

1-1 買い手の考え方①「投資の回収」を考える

まず買い手を理解するべき大前提として、買収という行為は投資であることを理解する必要があります。

(もしかするといるのかもしれませんが)ボランティアで買う方はいないと考えるべきです。

冒頭で「メリットがあると考えているから会社を買収する」といったニュアンスをお伝えしました。

それはつまり、「投資した金額以上の回収ができると考えている」と言い換えることができます。

1億円で買収したとしたら、「●年で1億円以上を回収できるだろう・・」と買い手は考えているということです。

この視点に立つと、いざM&Aが進んだ場合の買い手の言動やチェックポイントが全て腑に落ちるようになりますので、この視点だけは忘れないようにしてください。

「なぜ赤字の会社が売れるのか?」ということも様々な方法により投資回収が可能だと見込んでいるからです。

1-2 買い手の考え方②「財務内容」を見る

財務の確認イメージ

投資の回収という考え方を踏まえると、財務内容は回収可能性を考える上で最も重要なものであることが分かります。

・業績は順調に上がっているのか?横ばいなのか?毎年減収減益なのか?によって投資回収の考え方も変わってきます。

この財務内容は二つの視点で考える必要があります。それは、過去の数値未来の数値です。

決算書などの財務内容は過去の数値ですが、投資回収をするのは未来になるため、この2つの視点が重要です。

この二つの視点について解説していきます。

1-2-1 過去の数値

投資回収に影響する要素には、以下の3点が挙げられます。

  • 借入が多いのか少ないのか
  • 現預金の残高はいくらか
  • 事業に必要な資産(製造機械やトラックなど)は古いか新しいか

これまで年商1億円ほどで推移していたのが、買収後直ぐに5億円や10億円になるとは考えづらいはずです。できるなら既に年商は5億円・10億円になっているはずです。

つまり、会社の未来の数値を予測する上で、過去の数値はとても重要になります。

たまに「財務だけで会社の価値を判断されたくない!」とおっしゃる方もいらっしゃいます。

お気持ちはとてもよく分かるのですが、それは部分的には誤りです。財務諸表には記載されていないが明確に資産とよべるものがあります。

例えばそれは立地や技術力の高い従業員かもしれません。マーケティング力や販売網かもしれません。

これらは売上の源泉になっているはずですが、貸借対象表には計上されない資産です。
ただ、これは見方を変えると損益計算書の売上などに間接的に反映されていると言えます。

こういうと、「人材を大量に採用したばかりでまだ売上には寄与していない」といった主張もありますが、これらは未来の売上、つまり事業計画に反映されるはずです。

投資回収をする上でも、過去の数値が非常に重要になることはお分かりいただけたかと思います。

1-2-2 未来の数値

買い手は過去の数値を見て、未来の数値を予測して投資回収の可能性を考えます。

しかし、実際にM&Aをご支援してきた中小企業の9割超は事業計画を作成していないという現実があります。

作成していないとなると、買い手が過去の数値を用いて独自に事業計画を作り、回収可能性を検討することになります。
※中には特に作成せずに買収を検討し実行する買い手もおり、どれが良い悪いという話ではありません。

そしてその回収見込額を踏まえた金額提示をしてくることになります。

ここで一つポイントになるのは、この事業を一番よく知っているのは売り手自身であるということです。

売り手が作った事業計画はないのか、とよく買い手から要望が出ますが、お伝えしたようにほとんどの場合ありません。

現実的な事業計画は、買い手が投資回収の可能性を考える上では非常に有益な情報となりますので、可能であれば売却活動に動き出す前に作ってみても良いかもしれません。

1-3 買い手の考え方③売り手への依存度を見る

経営者イメージ

売り手への依存度とはなにか?依存度がどう回収に関係するのか?について解説します。

簡単に言ってしまえば、「売り手の存在」が「会社の業績」にどの程度影響を与えているか?ということです。

例えば、社長のトップ営業で仕事を取ってきているようなケースです。この場合、社長が会社売却後にいなくなると、業績が落ちることは明白です。

先程の未来の数値を考えるときに、「依存度が高い」という要素が入ることで未来の回収額(売却対象会社の売上・利益)は過去の決算書の数値よりも少なく見積もらざるを得ません。

分かりやすくするためにかなり極端な例を出していますが、ここでの結論としては「売り手への依存度」が高い会社は買収対象として敬遠されやすいということです。

ここが減額ポイントであり、高く売るためのポイントにもなってきます。

売り手の退任の影響が0ということはほぼあり得ませんので、依存度が高いのか?低いのか?について客観的な目線からも考えてみることをおススメします。

2章:高く売るための3つの考え方

3輪のお花

高く売るための細かい方法は数多くありますが、それらを大きく3つに分けて考えると把握しやすくなります。

その考え方は以下の3つです。

  • 財務内容
  • 売り手への依存度
  • 適切な会社売却活動の推進(≒M&A業者の選定)

2章では、具体的な3つの条件と今すぐ売りたい人・将来売ろうと考えている人それぞれがどうとらえるべきか?について解説していきます。

特に①と②は1章の買い手の考え方とリンクさせながら考えてみて下さい。

2-1 高く売るための条件①財務内容

まず「財務内容」です。ここが会社売却時の価格の基礎を構成するものになります。

ここは1章の買い手の考え方で触れた内容ですのでイメージしやすいと思います。1章と同様に、過去の数値と未来の数値に分けて考えてみます。

過去の数値
  • 赤字よりも黒字が良い
  • 借入金と現預金のバランスは、、、「現預金-借入金」がプラスほど良い
  • (実態の)純資産がプラスほど良い
  • 3期の業績(売上や営業利益)は、、年々右肩下がり<横ばい<年々右肩上がり、の順で良い

これらは過去の数字であり、変えることはできません。

つまり、「M&A業者へ依頼しようかどうか悩んでいる人」、「今すぐ売却したい人」や、「売却せざるを得ない状況の人」にある人にとってはどうしようもないということになります。

反対に、将来売りたい人にとっては多いに関係のある考え方ですので、このポイントを意識して経営をしてみると良いと思います。

未来の数値

将来3~5年の現実的な事業計画があるとプラス

未来の数値とは、1章で解説したように買い手の投資回収の源泉となる部分にあたります。
この点をどう考えるかで提示金額が決定されるといっても過言ではありません。
現実的な事業計画を作れるのであれば是非作ってみて下さい。

ただし、「現実的な」という点がとても重要です。

「絵に描いた餅」のような計画では、「回収可能性」を考えることができませんので意味がありません。

極端な例ですが、「昨年まで年商1億円だったものが、今期から3億円になるという計画は妥当性があると言えるでしょうか?」ということです。

つまり、買い手に対して現実的な未来の数値を伝えることは、妥当な回収可能性を考える上で重要な要素であり、双方にとってメリットがあります

この点は「今すぐ売りたい方」も「将来売りたい方」も取り掛かれる点ですので、事業計画の作成を検討してみて下さい。

2-2 考え方②売り手への依存度

次に、「売り手への依存度」という観点が重要になってきます。1章での解説と被る部分も多いですが、今一度目を通してください。

2.1でお伝えした財務内容が仮に良かったとしても、「売り手への依存度」が高い会社は価格が下がりやすくなるか、最悪売れないということに繋がってきます。
軽視される方も多いのですが、実はかなり重要な考え方となります。

売り手への依存度とは、一言で「社長で持っている会社」ということです。
これはどういうことかというと、例えば社長がトップ営業マンなのに、会社を売却した後に辞めてしまうということになると、会社の業績が落ちてしまうことが考えられます。

他にも、社長がメディアにガンガン出ている方で、その知名度によって顧客が集まっているようなケースもあります。

あるいは、売却する会社がコンサルティング事業を営んでいて、社長がコンサルタントをやっているようなケースもあります。

会社を売却した後も社長が残るのか、それとも辞めるのかという点でも変わりますが、「会社や事業の継続」という観点からとても重要な要素であることがお分かりいただけると思います。

これも先ほどと同様、「今すぐ売りたい方」にとっては時間が足りないため改善可能なポイントは多くはないですが、少しでも下げられる点があるのであれば今から改善していきましょう。

「将来売りたいという方」は、今日から「自分がいなくても回る仕組み作り」に是非取り組んでみてください。

2-3 考え方③適切な会社売却活動の推進(≒M&A業者選定)

考え方①と②では、「今すぐ売りたい人」にとってできることが少なく、残念なお話だったかもしれません。

ただ、この「適切な会社売却活動の推進(≒M&A業者選定)」は今すぐ売りたい人に特に関係するお話となります。

もっと言えば、ここが「より良い条件で売れる」か「M&Aの失敗」となるかの分かれ道になると言っても過言ではありません。

M&A業者の中には、「より少ない工数で、より早くM&Aを成立させる」という業者も少なくありません。これがM&A業者にとっての売上・利益が最大化する行為だからです。

この業者選定を誤ると、売り手にとって不利益に働く可能性が高いことはなんとなくおわかりいただけるのではないでしょうか。
この点は、少し長くなりますので、3章で重要性を解説していきます。

3章:適切な会社売却活動(≒M&A業者選定)の重要性

電球

2.3で売却活動の重要性をお伝えしました。
ここではもう少し掘り下げて説明させていただきます。

まずなぜ重要なのかを理解するために、M&Aの売却活動について解説します。
その中でより良い条件で売却するための要素が見えてきます。

3-1 売却活動の内容

会社の売却が完了するまでの大まかな流れ
  1. M&A業者へ依頼
  2. 会社売却の基礎となる企業概要書(IM)を作成する
  3. 買い手へ打診する
  4. 双方が合意する
  5. 合意した内容に基づいて契約を締結する

一般的にはこのような流れで進んでいきます。
特に外せないのは、IM(企業概要書)を作成することです。

IMの目的とは「売却対象の会社の魅力」を伝えることです。

これまでに説明してきた財務内容はもちろん、強みや弱みといった点やどんな資産があるのか、等を買い手が理解できるように、分かりやすい資料にすることが重要になります。

3-2 より良い条件で会社を売却するための要素とは

先に解説した売却活動と照らして、より良い条件で売却するための要素を考えてみましょう。
より良い条件が提示されるためにはどうするべきでしょうか?

それは複数の買い手候補から条件提示があることです。
複数の条件提示があるから良い条件を選べるということですし、本当に魅力があるならば競争原理が働くことになります。

次に、複数の条件提示を受けるためには、買い手候補に対してある程度の期間内での打診が重要になります。
売却活動の内容の「買い手へ打診する」ということが重要になってきます。

また、複数の提示があることとは別に、そもそも良い条件を提示してもらうにはどうしたら良いでしょうか?

買い手への打診時点では、業績を上げるといったことは不可能です。
これはつまり、現時点での売却対象会社の魅力を最大限分かりやすく伝えることが必要だということです。

それでは、魅力を最大限分かりやすく伝えるということはどういうことでしょうか?
買い手が買収を検討する時には、一般的にIMとよぶ企業概要書をベースに検討します。
つまり、3-1でも記載したように「良質なIM」が必要不可欠だということです。

そして良質なIMの作成には、「売却準備」が欠かせないということになります。
この記事では売却準備の細かい内容にまでは触れませんが、ここまでの話をまとめますと、売却準備もIMの作成も買い手への打診もそのほとんどをM&A業者が行うことになります。
これが、「M&A業者の選定」が売却活動における重要な要素であると言い切っている理由です。

3-3 適切な業者選定は外せない

選ばれし色鉛筆

3.2で業者選定は高く売るために重要な要素になっていることを理解できたと思います。
それではどのような業者を選べば良いのでしょうか?

それは、「実力」×「誠実さ」の両面から判断する必要があります。
随分抽象的になってしまいましたが、これを別の切り口で言い換えると

  • 売却活動の準備力(≒IM作成能力)
  • 売却活動の適切な推進

の2つになります。

3-3-1 売却活動の準備力とは?

買い手が良い条件を出してでも買いたいと思うのは、魅力がしっかりと伝わること、以外にありません。

これは、売却対象会社の魅力を分かりやすく、100ある価値を100にして伝える力です。
そのためには、あなたの会社の「理解力」と「表現力」が必要になります。

経験が浅いとあなたのビジネスを構成する要素すら分からずに曖昧な理解をします。

経験不足は、100ある価値を80と勘違いする要因にダイレクトに影響してきます。
※100ある価値を120と勘違いすることも、回り回って買い手から減額交渉という形で跳ね返ってきますので、良いことではありません。

加えて表現力がないとなると、「80の価値がある」と伝えたいにも関わらず、買い手には60に見えてしまうということです。

本来100あるべき価値が60になってしまうのは、売り手としては絶対に避けたいことではないでしょうか。

もちろん現実はこのように数値化できるものではありませんが、準備力はとても大切であることはご理解いただけると思います。

既にM&A業者と接点がある方やこれから問合せを検討している方は、是非M&Aコンサルタントの準備力を確認してみて下さい。

確認方法の一例
  • 私の会社の魅力は何だと思うか?
  • 私の会社の中で減額となる要素は何か?

このような質問をすることで、相手のレベルは何となく見えると思いますので活用してみて下さい。

この時のポイントは、正解かどうかではありません。なぜそう考えたのか(過去の経験なのかどうか)?そう考えた根拠は説得力があるか(ありきたりな薄いことを言っていないか)?などの観点から見ることです。

これまで多くのピンチを切り抜けて、首の皮一枚繋がった状況からでも必死に乗り越えてきた経営者の皆様であれば、相手が本物か偽物かは何となく見抜けると思います。

実際にご面談した経営者の方は、「〇〇業界担当」と肩書がついているコンサルタントとあったが、本当に詳しいのか疑問のある人が多い、と話されていました。

〇〇業界担当というのは営業戦略上名乗っているだけで、その業界のプロは極めて少ないというのが本音です。

そもそも年間2~3件の成約が一般的な水準ですので、経営者以上にその業界に詳しいプロはほぼいないに等しいと思います。

もちろん詳しいに越したことはないのですが、それよりも重要なのは、「あなたの会社の理解力と表現力」であることは忘れないでいただきたいと思います。
少しでもご参考になれば嬉しいです。

3-3-2 売却活動の適切な推進とは?

あなたの会社の魅力が伝わる資料の作成が無事に終わった次に重要なことは、「複数の買い手から条件提示があること」です。

良い条件提示となるかは資料でほぼ解決していますので、ここでは次の二つが重要になります。

  • 欲しがるであろう買い手への打診
  • 買い手の募集期間をある程度定めての打診

一つ目の欲しがるであろう買い手はどう検討をつけるのでしょうか?それは、売却前の準備の段階で判明します。

あなたの会社の理解が正しければ、会社の強みを欲しがるであろう先がイメージできるはずです。

あるいは、「会社の弱み」を補完することで大きく業績が伸びるだろうことが分かれば、補完してくれそうな会社が買い手候補として挙がってきます。

なぜこの買い手が「欲しがるであろう買い手」といえるのか?
それは、【大きく業績が伸びるだろう=回収見込額が大きい】ためです。

買い手の考え方で解説しましたが、投資回収の見込額が3年(回収期間の考え方は買い手により異なる)で1億円の場合と、3年で3億円の場合とでは、提示額が変わる可能性が高くなります。

少し極端な数値例ですが、このように欲しがるであろう買い手を考えていくことが「適切な推進」となります。

あまり欲しがっていない買い手に悪い条件で売ってしまうよりも、欲しがっている買い手に良い条件で売っていまう方が、双方WIN-WINになることは至極当然のことです。

続いて、二つ目の募集期間をある程度定めての打診について解説します。

  • 来月末まで条件提示を見てその中から決める
  • 途中で明らかに良い条件(当初の希望を上回る条件)提示があった先を逃げないギリギリのタイミングで選ぶ

本質的には、複数の買い手候補から提示をされるためには、ある程度の母数への打診が必要です。

ただ、ある程度の長すぎず短すぎない「条件提示期間」がないと、買い手候補はどんどん下りていってしまいます。そのため、募集期間をある程度定める必要があるということです。

もちろん数が多くなるように極力多くの候補先にアプローチすることが前提となります。

※ここで一つ注意点ですが、入札方式ではありません。なんとなく入札の方が高く売れるイメージをされる方も多いかもしれませんが、当社としてはあまりおススメしません。
実は入札という時点で検討から降りる買い手も多くいます。近年は売却案件は数多くありますので、競ってまで買う必要は無いと判断されます。

3-3-3 M&A業者の選定基準②誠実さはどう影響する?

第3章の冒頭で選定基準は「実力」と「誠実さ」だとお伝えしました。ここまでの解説では「実力」という側面が強かったと思います。

ここでは「誠実さ」はどう影響するのかについて解説します。

特に影響が大きいのは、「買い手の打診」の場面です。第2章で、M&A業者の中には、「より少ない工数で、より早くM&Aを成立させる」というけしからん業者も存在することをお伝えしました。

「リピートが期待できる買い手側を優先する可能性がある」といった記事を読んだことがある方も多いのではないでしょうか。

実際に実力があっても、「誠実さ」が無いM&A業者に当たることは「会社売却の成功」を遠ざける要因になります。これを避けるには、ストレートに聞いてみることが有用です。

  • 具体的にはどのように買い手に打診するのか?
  • 業界の悪い噂を聞くがどのように対応してくれるのか?

この点に対する返答の内容を各社で比較してみることで、ある程度の見極めをしましょう。

まとめ

チェックリストと女性

■会社を高く売るために前提となる買い手の考え方を知る

  1. 投資の回収
  2. 財務内容
  3. 依存度

■高く売るための外せない3条件

  1. 財務内容
  2. 売り手への依存度
  3. 適切な会社売却活動の推進(=業者選定)

■適切な業者選定

  1. 実力と誠実さ
  2. 売却活動の準備力(≒IM作成能力)
  3. 売却活動の適切な推進

高く売るための方法を知ることは、失敗しないための方法でもあります。
あなたの「一生に一度の会社売却」の成功に少しでもお役立てください。

ABOUT ME
この記事を監修した人 齋藤 和寿
【インバースコンサルティング株式会社代表取締役】 後継者不足の解決や豊かなリタイアを望む経営者様に寄り添い「最幸のM&A」を実現するための情報を発信しています。 仕組み経営コーチとしても活躍中。会社の仕組み化×M&Aで、社長の人生を豊かに彩ります。