社長という職業は日々大きな重圧がのしかかり、メンタルの不調から体調に異変を感じている人も少なからず存在します。
自分では「まだ大丈夫」と感じていても、ストレスを放置しているとある日突然うつ病を発症してしまう可能性も。
それに社長が体調を崩してしまうと、業務が回らなくなってしまうという会社もあるのではないでしょうか。
そのため社長にとってストレスを解消する方法は、会社を守る意味でも非常に重要です。
そこでこの記事では、社長が仕事に疲れたときの対処法について解説しています。
円満に社長業を引退する方法についてもご紹介しています。社長業に疲れた人はぜひチェックしてくださいね。
登場人物紹介
インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!
中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。
1章:社長が疲れてしまう原因と対処法
社長は日々大きなストレスに晒されており、そのストレスが疲れを引き起こす原因となっています。
そして疲れをそのまま放置してしまうと、さまざまな問題を引き起こす恐れがあります。
社長自身が疲れてしまう原因を把握し、疲れを感じたときには早めに解消するよう努めることが大切です。
1-1 社長が疲れると起こること
社長という立場は非常に疲れを感じやすいものですが、「自分さえ我慢すれば大丈夫」「まだ頑張れる」などと考えて無理をしてはいけません。
なぜなら社長が疲れていると、以下の問題が発生する恐れがあるためです。
- 心身の不調を引き起こす
- 従業員の士気が下がる
○心身の不調を引き起こす
社長業に限った事ではありませんが、疲れをそのまま放置しているとやがて心身に不調が起こります。
体が疲れていると、活動量が低下してしまうでしょう。また、極度の疲れは思考力が低下し、正常な経営判断を下せなくなってしまう恐れがあります。
極度の疲れから正常な経営判断が下せず、会社の経営が傾いてしまうということもじゅうぶんにあり得るんですよ。
それは怖い!
○従業員の士気が下がる
社長が疲弊していると、従業員は敏感にそれを察知します。
特にネガティブな感情は周囲に伝染しやすいといわれており、社長に元気がないと他の従業員の士気にも影響を及ぼします。
その結果、従業員の能動的な行動や活発なコミュニケーションが抑制されてしまい、売上が落ちるなど会社の成長に影響を及ぼす可能性が出てくるのです。
社長の元気=会社の元気ということですね。
1-2 社長が疲れてしまう原因
社長が疲れを感じる原因には、主に以下の4点が挙げられます。
- 経営や業績へのストレス
- 社内の人間関係へのストレス
- 社長という重責によるストレス
- 社長ならではの孤独感からくるストレス
どれも当てはまります!1つの組織を引っ張っていくことがこんなにストレスを感じるものだとは、社長になるまで知りませんでした。
どの項目も社長業ならではのストレスだといえますよね。
さまざまな経営判断の最終決定者は自分であるというプレッシャーは、気付かぬうちに疲れとなって現れてきます。
また、社内の人間関係に頭を抱えたり、従業員のパフォーマンス向上のために心を砕いたりすることでも疲れを感じやすくなります。
しかし社長本人の悩みは社内の人間にはなかなか相談しづらいもの。社内の悩みや不安を一人で抱えてしまいやすいことも、社長が疲れてしまう原因となっているのです。
1-3 社長の疲れを癒すアイデア
社長が疲れてしまうと会社全体に悪影響を及ぼす恐れがあるため、疲れを放置せずにうまく解消していくことが大切です。
多忙な社長がまとまった時間を作ることは大変かと思いますが、少しでも「自分のため」に時間を割くことが結果として「会社のため」にもなるんですよ。
疲れが取れると冴えた決断ができるようになり、業績の向上が期待できるというイメージですね!
その通りです。疲れが取れてパフォーマンスが向上すれば、自由な時間も増えますよ。
○経営者仲間に相談する
経営に関する悩みを1人で抱えがちな社長は、相談できる経営者仲間の存在が非常に心強いものとなります。
同じような悩みを経験している経営者仲間に相談すれば、解決の糸口となるアドバイスをもらえるかもしれません。
たとえ悩みが解決できなくても、他者に打ち明けて共感してもらうことで心が軽くなる効果が期待できます。
もし悩みを相談できる経営者仲間がいないのであれば、経営者同士の交流会に参加してみましょう。
自分と同じような悩みを抱えた人の存在を身近に感じるだけでも、気持ちが前向きになります。
時間がなくて交流会に参加できない場合などは、オンラインで情報交換ができるサービスを利用しても良いでしょう。
○定期的に悩みをアウトプットする
相談できる経営者仲間が見つからなかったり他人に相談することに抵抗があったりする人は、悩みを書き出してみることがおすすめです。
メモ用紙でもパソコンのWordでもなんでも構いません。悩みをひたすら書き出してみてください。
同じ悩みが何度も頭に浮かんでくることはありませんか?
書き出すことで、今自分がどんなことに頭を悩ませているのかを客観的に見られるようになります。
書き出した悩みを客観的に見ていると、ふと解決策を思いつくこともあるでしょう。
心身を壊すほど悩む必要が無い「小さな悩み」だったことに気付くこともあるでしょう。
書き出すことによって自分の悩みを整理し客観的に見つめた結果、同じ悩みが何度も頭に思い浮かぶといったこともなくなります。
やがてスッキリした頭で、仕事やプライベートに時間を使えるようになりますよ。
○プライベートの時間を確保する
多忙な社長にはなかなか難しいかもしれませんが、なるべく会社のことを考えない時間を作ることも大切です。
趣味に充てる時間や家族と過ごす時間を作り、会社の悩みから距離をおいてリフレッシュしてください。
仕事のことを考えない時間ができれば、心身ともに休まり疲れを軽減できます。
ウォーキングやサイクリングなど、軽い運動を取り入れるのもおすすめですよ。
愛犬の散歩なんかもよさそうですね。
いいですね。頭を空っぽにして愛犬とお散歩すれば、心身ともにリフレッシュできますね。
なかなかまとまった時間が取れないという人は、好きな音楽を聴いたりストレッチをしたりするだけでもリフレッシュ効果が期待できます。
疲れを感じたときは積極的に休むことを意識してください。
○生活習慣を整える
疲れているときや仕事に追われているときなどは生活習慣が乱れがちですが、乱れた生活習慣はむしろ疲れを増長させてしまう恐れがあるため注意が必要です。
なぜなら、生活習慣の乱れは自律神経の乱れにつながり、心身ともに疲れやすくなってしまうからです。
- 栄養バランスの取れた食事
- 十分な睡眠
- 適切な運動
しかし、多忙な社長がいきなり生活を大幅に変えることは難しいかと思います。
毎朝同じ時間に起きる・3食しっかりと食べる・ストレッチやウォーキングを生活に組み込むなど、できることから始めていくと良いでしょう。
少しずつ生活習慣を見直して、疲れにくい体づくりを目指しましょう。
頑張ります!リフレッシュ目的のお酒やタバコはどうなんでしょうか?
お酒やタバコはリフレッシュしているつもりでも体に大きな負担がかかります。特にタバコは百害あって一利なし。お酒は控えめにして、タバコは止められるとベストですね。
なるほど。頑張ります…!
2章:疲れた社長が経営から退くならM&Aがおすすめ
心身ともに疲れ果ててしまい、もはやセルフケアではどうにもならないと感じたときは、社長業からの引退を考えても良いかもしれません。
引退といっても、後継者がいない以上は無理ですよね?
実はM&Aで会社売却を実行すれば、後継者が不在でも事業承継が可能になるんですよ。
後継者がいなくても会社を託せるんですね⁉詳しく聞きたいです!
疲れた社長がM&Aを実行するなら、株式譲渡での会社売却がおすすめ
2-1 疲れた社長がM&Aを実行するメリット
心身ともに疲れ果ててしまった社長がM&Aで会社売却を行うと、以下のメリットを得られます。
- ストレスから解放される
- 売却益を受け取れる
- 会社から引退して自由な時間ができる
つまり、会社経営に感じているストレスや疲労感から完全に開放されるということです。
○ストレスから解放される
M&Aで会社売却を行うと、会社の経営権を手放すことになります。したがって、会社売却後は経営に頭を悩ませる必要がなくなります。
買収先は自社より規模の大きな企業であるケースが多いため、会社の未来も安心
経営へのプレッシャーがなくなるだけで、だいぶ心が軽くなりますよ。
○売却益を受け取れる
株式譲渡で会社売却を行った場合、売却益は株主が受け取ります。
株主ということは、私ですね!
受け取った売却益の使い道は株主が自由に決められる
会社売却により受け取った売却益は、リタイア後の生活費にしたり新しい事業を始めるための元手にしたりとさまざまです。
今まで会社のために頑張ってきた社長への退職金とも受け取れますよね。
○会社から引退して自由な時間ができる
M&Aで会社売却を行うと、会社からの引退を実現できます。
まとまった時間の確保が可能となり、今までできなかった趣味や旅行に時間を使えるようになるでしょう。
2-2 疲れた社長がM&Aを実行すると会社にもメリットが
経営に疲れた社長がM&Aで会社売却を行うことにより、社長自身だけでなく会社にもメリットが得られます。
○会社の成長スピードが上がる
M&Aで買い手企業の傘下に入ると、買収先のノウハウ・技術・販路などが使用できるようになります。
それらがコストの削減や業務の効率化につながり、会社の成長スピードを加速させる効果が期待できるのです。
自社の弱みを補ってくれる買い手選びが重要
M&A会社の担当者ともよく相談して、シナジー効果を見込めそうな買い手候補を選びましょう。
○資本が安定するため経営が安定する
M&Aでは、買い手企業が売り手企業より規模の大きな会社であるケースが多数を占めています。
自社より規模の大きな企業の傘下に入ることで資本が安定し、経営の安定化が期待できます。
大きな船は簡単に沈みません。資本が安定すれば、経営の悪化に頭を悩ませることから解放されますよ。
私も経営状態に一喜一憂する日々です。資本が安定するのは非常に心強いですね。
○従業員が安心して働けるようになる
社長の疲弊は、社長自身が思っている以上に従業員へ伝わっています。多数の従業員が社長の体調を気遣い心配していることでしょう。
M&Aの実行で社長に元気が戻れば、従業員たちも安心して働けるようになります。
従業員が安心して仕事に取り組めるようになると、業務へのモチベーションや効率が向上し、業績のアップも期待できます。
3章:M&A実行後の社長の生き方には選択肢がある
経営に疲れた社長がM&Aで会社売却を行った後は、一体どのような人生を送ることになるのでしょうか。
実は、M&A実行後の生き方は千差万別。社長の数だけ生き方が存在します。
M&A後に燃え尽きてしまわないためにも、M&A実行前にご自身の生き方について考えておくと良いですね。
たしかに突然何もしない毎日が来るとボケてしまいそうです。今のうちに第二の人生について考えてみます。
3-1 会社から完全に引退してリタイア生活を楽しむ
1つめの選択肢は、会社から完全に引退して第二の人生を歩み始めることです。
- 家族とのんびり過ごす
- 行きたかった場所へ旅行へ行く
- 田舎暮らしを始める
今までは時間がなくて実現できなかったことを1つずつ叶えていくのも素敵ですね。
M&Aで得た売却益を、第二の人生をスタートするための資金に充てるパターンです。
3-2 新たな会社を立ち上げて再スタートを切る
M&Aで会社売却を行った社長の中には、新たな事業を立ち上げて再スタートを切る人もいます。
今まで経営してきた会社とは全く別業種に挑戦する社長もいるんですよ。
なるほど。本当にやりたい事業に挑戦できるということですね。
中には、M&Aで得た売却益を元手に次々と会社を立ち上げていく連続起業家に転身する社長も存在します。
再スタートを目指すならしばらくはのんびりと過ごし、現在感じている疲れを癒してからがおすすめです。
3-3 会社に残り経営のサポートを続ける
会社売却後も雇われ社長や顧問として、会社に残留するという選択も可能です。
会社への残留を希望する場合は、M&A交渉時にその旨を買い手側へ了承してもらう必要がある
しかし経営に疲れてしまって会社売却を実行するんですよね?会社に残ったら疲れは癒されないのではないでしょうか?
経営権は手放しているため、経営に関するプレッシャーからは解放されますよ。
なるほど。たしかにそれならゆったりとした気持ちで仕事に取り組めそうです。
社長がリラックスして仕事に取り組んでいる姿を直接見られるため、従業員たちへも安心感を与えられます。
まとめ
重圧の中で日々を過ごし、大きなストレスに晒されている社長。
疲れを放置していると心身に不調をきたす恐れがあるだけでなく、やがては会社の業績にまで関わってくる事態になりかねません。
そのため疲れを感じたときには、早めに取り除くことが重要です。
- 経営者仲間に相談する
- メモやWordなどへ定期的にアウトプットする
- プライベートの時間を確保してリラックスする
- 生活習慣を改善して自律神経を整える
自力では抜け出せない、社長業から離れたいと感じたときは、M&Aで会社売却を実行すると良いでしょう。
株式譲渡というスキームを使用してM&Aを実行すると、社長にも会社にもメリットが期待できます。
- ストレスから解放される
- 売却益を受け取れる
- 会社から引退して自由な時間ができる
- 会社の成長スピードが加速する
- 資本が安定し経営が安定化する
- 従業員が安心して働ける
また、M&A後に社長は第二の人生を歩み始めます。売却益を元手に、自分が本当にやりたかったことを実現するチャンスが巡ってくるのです。
心身に不調を引き起こす前に、疲れは意識して溜めないように気を付けましょう。
M&Aを検討する際には、早めに専門家へ相談することをおすすめします。