M&A

株式の変遷|業績が良い会社でもM&Aで会社売却できない理由と対処法

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M&Aを実行する際に、良い業績を上げていても売却ができない会社が存在することをご存知ですか?

それは、社長も知らないうちに株式の変遷が起こっていた場合です。

この記事では株式の変遷について説明するとともに、もし株式の変遷が見つかった場合の対処法についても解説しています。

ご自身が経営している会社の株式がどのような歴史を歩んできたのか、今一度確認しておきましょう。

登場人物紹介

齋藤さん

インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!

社長

中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。

1章:「株式の変遷」とは?

株価グラフイメージ

株式の変遷とは、会社を設立したときから現在に至るまで株式がどのように移動しているのかを指す言葉です。

  • いつ移動したのか
  • 誰から誰に移動したのか
  • 何株移動したのか

そして特に重要な点が、株式の移動を示す証拠となる書類(※)が保管してあるかどうかです。

※株式を買った際に代金を振り込んだ形跡が分かる資料・株主総会の譲渡承認決議の議事録・株式売買契約書といった書類です。

1-1 株式の変遷の重要性

社長の中には「今自分が全て(100%)の株式を持っている」と考えている人も多いのではないかと思います。

しかし本当に、確実に株式の100%を法的に所有しているのでしょうか。

実は、稀に売り手社長本人の知らないところで株式の移動がなされていないケースがあるために、確認が必要なのです。

100%の株式を所有していると思っていたら、実は40%分は他の人が持っていた、ということが後になって発覚すると大問題です。

会社の定款によっては、株主総会の特別決議などにおいて3分の1以上の株主の出席が必要になります。

そのため40%を所有している株主が欠席した場合、決議の採択ができなくなってしまうのです。

この特別決議こそが株式移転計画の承認に必要な決議であり、M&A実行のためには欠かせないものなのです。

つまり、株式譲渡の承認が下りず売りたくとも売れないという状況に陥ってしまうことが考えられます。

さらにその株式の持ち主が「高値で買い取れ」と言い出すケースもあります。実際にそれが原因で売却をしたくともできない会社も存在するのです。

このようなトラブルを避けるためにも、自社の株式がどのような変遷をたどってきたのかを明確にしておく必要があるのです。

1-2 株式の変遷の確認方法

まずは株式の売買に関わる書類や、株式の代金としてお金を振り込んだ形跡が無いかを全て洗い出しましょう。

全ての変遷が資料の存在と合わせて追えたのであれば問題ありません。

M&Aで株式譲渡を行う前までに買い手に全ての情報を開示することになるため、整理して保管しておきましょう。

1-3 株式の譲渡記録が見つからない場合はどうなるか?

株式の譲渡記録が見つからないときに良くある対応方法としては、株式を持っていた相手から「私は●年●月●日に譲渡したことに相違ありません」という内容の念書をもらうことです。

これには、後から「自分が●株分の株主です。」と名乗り出てこられることを防止する効果があります。

仮に念書をもらえず株主が名乗り出てこられた場合には、売り手社長が責任をもってご自身の費用で全て解決する必要が出てきます。

M&Aの交渉が進んでるにもかかわらず他に株主がいる可能性が出てきた場合は、買い手が下りてしまいM&A自体が破談になるケースも存在するため注意が必要です。

まとめ

社長自身が自社の株式を100%所有していると認識していても、実はそうではない場合もあります。

そして過去に株式の変遷が行われていた場合、M&Aにおいて大きな障害が発生してしまうリスクになってしまう可能性があるのです。

また、株式の保有率によっては株主総会での決議ができず、会社売却自体が不可能になってしまう可能性もじゅうぶんに考えられます。

スムーズなM&A実行のためにも、会社売却を検討しはじめた時点で株式の変遷について確認しておくことをおすすめします。

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この記事を監修した人 齋藤 和寿
【インバースコンサルティング株式会社代表取締役】 後継者不足の解決や豊かなリタイアを望む経営者様に寄り添い「最幸のM&A」を実現するための情報を発信しています。 仕組み経営コーチとしても活躍中。会社の仕組み化×M&Aで、社長の人生を豊かに彩ります。