近年耳にする機会も多いFIREですが、憧れている人も多いのではないでしょうか。
FIREとは、経済的な自立を実現させて仕事を早期リタイアする新たなライフスタイルを指す言葉です。
一般的には、一生暮らしていくのに困らない資産を確保したうえでのリタイアを早期リタイアと表現します。
その一方である程度の資産を確保し、それを投資などで運用して生活していくライフスタイルのことをFIREと呼んでいます。
実はこの早期リタイア(FIRE)を最も実現しやすい職業が「社長」だということはあまり知られておりません。
この記事では、社長が早期リタイア(FIRE)を実現しやすい根拠と共に、早期リタイア(FIRE)までの道のりを解説しています。
早期リタイアを実現させて、悠々自適な生活を送りたいと考えている社長は必見です。
登場人物紹介
インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!
中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。
1章:社長が豊かな早期リタイア(FIRE)を実現するにはM&Aが必須
社長が早期リタイア(FIRE)を実現しやすいという一番の根拠は、自社株という資産の存在です。
株式会社を経営している社長なら誰でも所有しているため、普段はその存在すら忘れてしまっている人もいるかもしれませんね。
この自社株という資産をM&Aを用いて売却することで、早期リタイア(FIRE)の資金に充てるのです。
しかし、ただ会社を売ればいいというわけではありません。
- なるべく高値での会社売却を実現させる
- 株式譲渡で会社売却を行う
上記2点が豊かな早期リタイアのための必須条件となります。特に売却価格はリタイア後の生活を左右する重要な事項となりますので、慎重な対応が必要です。
2章:社長が豊かな早期リタイア(FIRE)を実現する手順
社長が豊かな早期リタイアを実現するために必要な手順は以下の通りです。
豊かな早期リタイアを実現するためには年単位での準備が必要になってくるため、早めに準備をし始めることが肝心です。
2-1 早期リタイアを実現させる年齢の設定
M&A実行までには準備が必要なため、まずは早期リタイアを実現させる年齢を設定しましょう。
また、自身が目指しているのが早期リタイアなのかFIREなのかも明確にしておく必要があります。
なぜなら、早期リタイアとFIREでは必要な資産額が異なるからです。
年間に必要な支出額×一生分
年間に必要な支出額×25年分
なぜFIREに必要な資産額が25年分なのかというと、FIREにおいて”資金が枯渇してしまう恐れが非常に低くなる”「4%ルール」の存在が根拠として挙げられます。
4%ルールとは簡単にいうと「年間支出を投資元本の4%以内に抑えられれば、資産が目減りすることなく暮らせる」というものです。
この4%ルールを念頭に置いて必要な資金を計算すると、上記の計算になります。
ただし、投資に絶対はありません。用意する資金が潤沢であるほど、リタイア後の生活は安心できるものになるでしょう。
必要な資産額を算出したうえで自身の預貯金を差し引くと、いくらで会社売却を行えば良いかの目安を計算できます。
4%ルールについてもっと知りたい方は下記のリンクをご覧ください(外部サイトへ移動します)
参考サイト:公益社団法人生命保険ファイナンシャルアドバイザー協会「最近話題のFIREって、いったいなに?」
2-2 会社を育て価値を高める
会社の売却価格に目星がついたならば、目標金額へ向けて会社を育て企業価値を高めましょう。
企業価値は売却価格に反映されます。高ければ高いほど、高値での会社売却が実現する可能性は高まるのです。
〇業績を上げる
会社を高値で売却するためには、まず業績を上げることが重要です。発展途上の会社はその将来性が高く買われ、M&Aが成功しやすくなるからです。
逆に業績が下がってしまい赤字に転落したり債務超過に陥ったりすると、早期リタイアの実現はほぼ不可能となってしまいます。
最低でも業績は横ばい状態をキープし、可能であれば右肩上がりにしておきたいものです。
〇自社の強みを確立する
強みはそのまま自社の価値になります。人材・技術・ブランド力など、他社にはない強みを確立しておくと、高値で会社売却を実現できる可能性が高まります。
また、自社の強みを活かせる売却先を探すことも重要なポイントです。買い手企業との相乗効果(シナジー)が期待できると、高値が付く可能性がより高まるためです。
〇仕組み化で属人的な仕事を減らす
M&Aを視野に入れたときに取り組んでおきたいプロジェクトが会社の仕組み化です。
会社を仕組み化しておくと、人に依存した仕事(属人的な仕事)を排除し「誰がやっても同じ結果を得られる」仕事の割合が多くを占めるようになります。
その結果として、主に以下のメリットが得られるのです。
- 仕組み化自体が会社の独占的な資産になる
- 社長がいなくても存続できる会社になる
- スムーズな事業承継が可能になる
上記3点に挙げたメリットは、そのまま会社を高値で売却できる要素にもなります。
そのためM&Aで会社売却を検討してる会社は、規模や業種にかかわらず仕組み化に取り組むべきなのです。
2-3 M&Aによる会社売却で現金化
業績を上げて会社の仕組み化が整ったのであれば、いよいよ最後の仕上げです。M&Aで会社売却を行い、売却益を手にしてください。
ただし会社売却にはいくつかのコツがあります。その中でも最も重要なものが、信頼できるM&Aコンサルタントに依頼することです。
担当するM&Aコンサルタントが会社売却の成功のカギを握っているといっても過言ではありません。
M&A会社の中には無料相談を行っている会社もたくさん存在します。
それらを活用して、信頼できるコンサルタントに出会えるまでいくつかのM&A会社へ相談することをおすすめします。
3章:M&Aによる会社売却で社長の手取りを最大限に増やすコツ
豊かな早期リタイアを実現するためには、社長の手取りを最大限に増やすM&Aを実現させましょう。
そのためには”売り時”を逃さないために世の中の流れをしっかりとキャッチしておく必要があります。
さらに現行の制度をフル活用し、豊かな早期リタイアを実現させてください。
3-1 会社の”売り時”を逃がさない
会社には高値で売れやすい”売り時”が存在します。
- 業績が上がり会社が成長している時期
- 業界全体に勢いがある時期
- 自社が有する技術や商品に対するニーズが高まっている時期
業績以外の”売り時”は自社だけでなんとかできるものではありませんので、時流をよく見て柔軟な対応が必要です。
逆に業績もニーズも落ちている時期は、希望に近い価格で売却できない可能性が高いため注意が必要です。
3-2 M&Aを実行するまでは役員報酬を受け取り続ける
M&Aが完了し、社長の座から降りるまでは役員報酬を受け取り続けましょう。
この役員報酬は早期リタイアのための現金資産となります。極力手を付けずに取っておくことをおすすめします。
3-3 役員退職金の制度を活用する
M&Aでの会社売却時に、社長の手取りを最大限増やす手段として”退職金スキーム”という方法が存在します。
これは、株式譲渡の代金の一部を退職金として受け取るといったニュアンスで捉えて頂いて構いません。
株式譲渡で得た譲渡益には20.315%の税が課されます。税率は一律のため、株式譲渡の金額が少ないほど支払う税額は少なくなります。
一方で役員退職金にも課税されますが、こちらは金額によって課税額が異なる累進課税です。
ただし退職金は「退職後の生計維持の原資になる」と考えられているため、他の所得に比べて税率がかなり優遇されています。
つまり株式譲渡と役員退職金の組み合わせは節税につながり、社長の手取りを最大化できるというわけです。
退職金スキームに関して詳しく知りたい人は、下記の記事もチェックしてみてください。
まとめ
社長は、最も早期リタイアを実現しやすい職業の1つです。
ただし豊かな早期リタイアを実現させるためには、綿密な計画とM&Aによる会社売却を上手に活用する必要があります。
具体的にはリタイアを実現したい年齢を考え、その後の人生に必要な資産を計算し、そこから会社の売却希望価格を算出してください。
そして会社をより高値で売却するために、企業価値を高める施策を行いましょう。会社の”売り時”を逃がさないことも大切です。
さらに豊かにリタイアするためには、M&Aの実行までは役員報酬を受け取り続けることと、M&A実行時に役員退職金の制度をフル活用することを忘れずに。
しかしこれらを社長1人でやり遂げるのは、非常に難しいかと思います。
効率よく無駄なく”社長の早期リタイア(FIRE)プロジェクト”を成功させるためには、専門家に相談することをおすすめします。