会社の売却を検討しはじめたときに「できるだけ高く売却したい」という考えが出てくるのはとても自然なことです。
そこで気になるのが、どうしたら会社をより高く売却できるのかということですよね。
実は、会社をより高く売却するためには条件が2つあります。
この記事では、会社を高く売るために必要な2つの条件についてを分かりやすく解説しています。
登場人物紹介
インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!
中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。
1章:会社を高く売るために必要な2つの条件とは
会社を高く売るために必要な条件は以下の2つです。
以上2つの条件を満たすことにより、会社はより高く売却できるようになるのです。
2章:買い手に「欲しい」と思ってもらえる会社であること
ごく当たり前のことかもしれませんが、買い手に「欲しい」と思ってもらえる会社であることは非常に重要です。
「この会社を買収したい」と思ってもらえないと会社の売値は低くなり、最悪の場合買い手が見つからないということも考えられるのです。
買い手に「欲しい」と思ってもらうポイントは、以下の4点が挙げられます。
- 購入価格以上の収益を上げられる会社である(投資の回収)
- 過去の財務内容がしっかり記録されている
- 未来へ向けての事業計画が3~5年分ある
- 売り手(社長)への依存度を減らす
2-1 購入価格以上の収益を上げられる会社であること(収益の回収)
買い手が会社を買収する際に最も重要視している点は、購入価格以上の収益を上げられる会社であるかどうかです。
買い手にとって会社の買収というのは投資になります。
せっかく買収した会社が思ったように利益を上げられないと、その投資は失敗に終わってしまうのです。
したがって、投資した金額以上の回収ができると考えられる会社は買い手にとって魅力のある会社だということができるのです。
2-2 過去の財務内容がしっかり記録されていること
過去の財務内容は、買い手にとって購入した金額以上の収益を上げられるかどうかを判断するための重要な資料となります。
- 業績は順調に上がっているor横ばいor減収減益
- 借入が多いのか少ないのか
- 現預金の残高はいくらか
- 事業に必要な資産(製造機械やトラックなど)は新しいか古いか
これまで年商1億円ほどで推移していたのが、買収直後に5億円や10億円になるとは考えづらいはずです。
会社の未来の数値を予測するうえで、過去の数値はとても重要になっているのです。
2-3 未来へ向けての事業計画が3~5年分あること
買い手は過去の数値をふまえて未来の数値を予測し、投資した金額を回収できるかどうかを考えます。
そこで大切になってくるのが未来へ向けての事業計画の存在です。
事業計画を作成していないと、買い手が過去の数値を用いて独自に事業計画を作成することになります。
そこから投資した金額を回収できるかどうかを検討し、買収金額の提示がおこなわれるのです。
しかし過去の数値だけを見て作られた事業計画では、会社が持っている魅力をじゅうぶんに伝えることが難しいのです。
会社の事業を一番よく知っているのは売り手です。
過去の財務内容を元に、会社が持っている魅力を最大限に活かした事業計画の作成をおすすめします。
向こう3年~5年分の事業計画を作成しておくとベストです。
2-4 売り手(社長)への依存度を減らすこと
会社をより高い価格で売却するには、売り手(社長)が抜けても業績が大きく変わらない見込みがあることも重要なポイントです。
社長がバリバリ売り上げを上げている会社は高く売却することが難しい
売却後に社長が退任するという会社は多く存在します。
社長が抜けたときに業績が大きく落ちることが見込まれる会社には、以下のデメリットがあるのです。
- 価格が下がりやすくなる
- 買い手が見つからない
上記のような事態を避けるためにも、売り手(社長)がいなくても売り上げを上げられる仕組み作りを進めていくことをおすすめします。
3章:適切な会社売却活動をおこなうこと
会社をより高く売却するためには、売却する会社の魅力と将来性を買い手に納得してもらう必要があります。
なぜなら、売り手は納得の価格で売却したいという希望を持ち、買い手はお得感のある買収をしたいと考えているからです。
より高く会社を売却できる可能性を高めるために、適切な会社売却活動は重要なポイントとなるのです。
適切な会社売却活動のために欠かすことのできないポイントは以下の3点です。
- 魅力的な企業概要書(IM)を作成する
- 買収を検討してくれそうな買い手にアプローチする
- 適切なM&A業者を選定する
3-1 魅力的なIM(企業概要書)を作成する
会社をより高く売却するうえでまず重要なのが、自社の魅力をたっぷりと伝えられる資料を作成することです。
この資料のことをIM(企業概要書)といい、売却したい会社の魅力をしっかりと伝えることを目的として作成します。
- 財務内容
- 会社の強み/弱み
- 資産内容
これらの内容を買い手に分かりやすく伝えられる資料であることが重要です。
3-2 買収を検討してくれそうな買い手にアプローチする
会社をより高く売却するためには、より良い条件提示を受ける必要があります。
より良い条件が提示されるためには、複数の買い手候補から条件提示があることが望ましいです。
なぜなら複数の条件が提示されたなら、より良い条件の買収先を選べるからです。
複数の買収候補の間で競争が始まり、より高い条件が提示されるというケースが発生することもあります。
そのためには魅力的なIM(企業概要書)の存在が必須となるのです。
魅力的なIM(企業概要書)を元に、買い手候補に対して会社売却のアプローチをおこなうことにより、会社をより高く売却できる可能性が高まります。
3-3 適切なパートナーを選定する
適切な会社売却活動をおこなうことはとても大変な作業になりますので、専門家に依頼することを強くおすすめします。
- 会社を売却する準備
- IM(企業概要書)の作成
- 買い手の選定および買収の打診
これらのことを安心して任せられるパートナーを見つけることが、会社をより高く売却することへの一番の近道だといっても過言ではありません。
会社の売却はM&Aと呼ばれています。M&Aを手掛けているいくつかの会社へ問い合わせ、実績があり、誠実な対応をしてくれる会社を探してみてください。
まとめ
会社をより高く売却するためには、
- 買い手に「欲しい」と思ってもらえる会社であること
- 適切な会社売却活動をおこなうこと
この2点が重要です。
大切に育て上げた会社の売却で納得のいく結果を出すためには、日ごろからしっかりと準備しておくことが大切です。