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M&A仲介手数料に消費税は必要?手数料の種類・注意事項や契約時のポイントも解説

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M&Aで会社売却を行う際には、M&A会社に仲介やアドバイザリー契約を依頼する人が多いかと思います。

少しでもM&Aにかかる費用を抑えたい社長の中には、M&A会社へ支払う報酬に消費税がかかるのかどうかが気になる人もいるのではないでしょうか。

そこでこの記事では、消費税がかかるのかを始めとしたM&A会社に支払う仲介手数料についての解説をしています。

できるだけ手数料を抑えるためのポイントにも触れていますので、仲介手数料を節約したい社長はチェックしておきたい記事になっています。

登場人物紹介

齋藤さん

インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!

社長

中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。

1章:M&A会社に支払う仲介手数料には消費税がかかる

電卓と小銭

M&A会社に支払う仲介手数料には、10%の消費税が課税されます(2023年9月現在)。

消費税は、商品・製品の販売やサービスの提供などの取引に対して広く公平に課税される税であり、M&A取引に発生する仲介手数料も例外ではありません。

皆さんもご存知のとおり、消費税には標準税率10%と軽減税率8%の2種類の税率があります。

M&A仲介手数料は軽減税率の対象外となっているため、標準税率の10%が課税されるのです。

さらに、消費税は支払いのタイミングごとに課税されます。

そのため完全成功報酬型以外のM&A会社では着手金や月額報酬など全ての支払いに消費税が課税されます。

支払総額を少しでも抑えるためには、M&A会社へ支払う金額をできる限り抑えることがポイントです。

消費税について詳しくは国税庁のHPをご確認ください。

国税庁HP:消費税のしくみ

2章:M&A仲介手数料の種類

チェックリストと女性

M&Aの仲介手数料には、大きく分けて2種類の報酬体系が存在します。

  • 完全成功報酬型(支払いは成功報酬のみ)
  • 完全成功報酬型以外(成功報酬+その他の報酬が必要)

どちらの報酬体系にもメリットとデメリットが存在するため、双方の特徴を十分に理解したうえでM&A会社と仲介契約を結ぶようにしてください。

どちらの報酬体系を採用しているかは仲介を依頼するM&A会社によって異なります。

そのため、仲介の依頼を検討しているM&A会社の報酬体系はあらかじめ調べておくとその後の検討がスムーズに進みます。

2-1 完全成功報酬型の場合

完全成功報酬型というのは、M&A会社に支払う報酬が成功報酬のみの報酬体系を指しています。

成功報酬とは

M&Aの最終契約締結後にM&A会社に支払う報酬のこと。報酬の計算はレーマン方式が採用されているケースが多くを占めている。

  • 成約しなければ仲介手数料がかからない
  • 支払総額が分かりやすい
  • 着手金の支払いがないことでM&Aがスムーズに進まない恐れがある
  • 不利な条件のM&A成立を強引に勧めてくる恐れがある
  • M&A案件のキープが目的で顧客を集めているだけの恐れがある

調査のための出張費などの実費が別途かかる場合がある

完全成功報酬型はM&A会社を利用する側にとってはコスト面で有利ですが、反対にいえばM&A会社側としては不利な報酬体系です。

仲介会社にしてみれば、手間と時間をかけて仲介業務を行ったのにもかかわらず成約に至らないケースは1円の利益にもなりません。

そのため売れなさそうな案件の進行が後回しになったり、依頼主の利益を考えずに多少不利な成約を強引に進めてきたりする恐れがあるのです。

完全成功報酬型のM&A会社に依頼を検討する際は、優良なM&A会社を見極めることが重要です。

2-2 完全成功報酬型以外の場合

完全成功報酬型以外の場合は、成功報酬の他にも様々な名目で報酬の支払いが必要になってきます。

主な報酬の項目は以下のとおりです。

  • 相談料
  • 着手金
  • 月額報酬
  • 中間報酬
  • 成功報酬
  • その他費用

完全成功報酬型以外の報酬体系では、どの項目の報酬が必要なのかはM&A会社によって異なります。

そのため必要な報酬額にはかなり開きが出てきます。

ここで一般的な完全成功報酬型以外の平均的な報酬と、完全成功報酬型の報酬を比べてみましょう。

完全成功報酬型以外完全成功報酬型
相談料1万円前後無料
着手金100~200万円前後無料
月額報酬50~100万円前後/月無料
中間報酬成功報酬の10~30%無料
成功報酬レーマン方式レーマン方式
その他費用10万円前後無料

※上記の報酬は、依頼主が売り手の場合の価格です
※この報酬には消費税がかかります。

上の表からも分かるように、自社を売却できなかった場合のコストをゼロにしたいのであれば、完全成功報酬型のM&A会社を選ぶべきでしょう。

ただし契約するM&A会社によっては、非完全成功報酬型のM&A会社に依頼したほうがコストを抑えられるケースも存在します。

社長

非完全報酬型のM&A会社は費用がかかる項目が多いのに、なぜでしょうか

齋藤さん

レーマン方式の計算方法と、設定されている最低成功報酬額がポイントです。次項で詳しく解説していきますので、一緒にチェックしていきましょう!

3章:仲介手数料の落とし穴1 レーマン方式に注意!

NG標識

完全成功報酬型・非完全成功報酬型どちらの報酬体系を採用しているM&A会社であっても、例外なく発生するのが成功報酬です。

齋藤さん

必ずしも完全成功報酬型のM&A会社に支払う報酬が最安になるわけではない理由がここにあります。しっかりとチェックしておいてくださいね。

この成功報酬は、多くのM&A会社がレーマン方式という計算方式を用いて報酬額を算出しています。

3-1 レーマン方式とは

レーマン方式は以下の計算式で算出されます。

成功報酬の金額=報酬基準額(取引金額)×報酬率

<レーマン方式の料率一覧>

報酬基準額料率
5億円以下の部分5%
5億円超10億円以下の部分4%
10億円超50億円以下の部分3%
50億円超100億円以下の部分2%
100億円超の部分1%

ここで注意が必要な点は、レーマン方式に採用されている報酬基準額や料率はM&A会社によって異なるということです。

金額の大きくなりやすいM&A取引では、料率が1%違うと報酬額に大きな差が出てしまいます。

M&A会社を比較検討する際には、報酬基準額と料率もしっかりとチェックしておきましょう。

<レーマン方式の計算例>

レーマン方式の料率

3-2 レーマン方式の注意点

レーマン方式では、報酬基準額に注意が必要です。レーマン方式は報酬基準額の算出方法によって4つに分けられ、それぞれ報酬基準額が異なります。

検討しているM&A会社が採用しているレーマン方式がどれに当たるのかを確認しておきましょう。

レーマン方式における報酬基準額の計算方式

4つの方式の中では、株価レーマン方式が最もコストを抑えられる計算方式だといえます。

また、移動総資産レーマンの場合は負債が大きな会社ほど成功報酬額も多額になります。

しかしM&A会社がどのレーマン方式を採用しているかまでは、契約を締結する段階まで分からないことも多いのが現実です。

そしてこの成功報酬にも消費税が課税され、成功報酬が多いほど支払う消費税も多額になります。

コストを抑えたい人はM&A会社との契約前に報酬基準額の計算方式を確認しておきましょう。

4章:仲介手数料の落とし穴2 最低成功報酬額に注意!

お金が増えるイメージ

M&A仲介手数料を抑えたいときに忘れてはいけないのが、最低成功報酬額の存在です。

最低成功報酬額とは、その名の通り成功報酬額の最低金額を指していて、200~2,500万円程度に設定されていることが多いようです。

規模の小さな会社や業績が悪化していて高値での売却が見込めない会社の場合、成功報酬が最低成功報酬額を下回ってしまう可能性があります。

そのため成功報酬額が低く抑えられているM&A会社を選ぶことが、M&A成功のポイントです。

年商3億円未満の会社の売買金額は多くが2億円未満です。2億円×5%で仲介手数料は1千万円になります。

成功報酬額のイメージ

例えば1億円で会社売却に成功した場合、レーマン方式により算出される成功報酬の金額は500万円です。

最低成功報酬額が500万円に設定されているM&A会社に依頼した場合、支払う成功報酬額はレーマン方式で算出された500万円になります。

しかし最低成功報酬が2,500万円に設定されているM&A会社と契約したケースでは、レーマン方式で算出した500万円より成功報酬額の方が大きくなります。

そのためレーマン方式で算出した500万円ではなく、最低成功報酬額である2,500万円を支払う必要が出てくるのです。

社長

同じ金額で会社売却に成功したとしても、支払う成功報酬額に2,000万円もの開きが出てしまうんですね!

齋藤さん

M&A会社との契約締結前に無料相談などを利用して、自社がいくらくらいで売れるのかの概算を算出しておくことをおすすめします。

5章:M&A仲介契約締結時に注意すべきポイント

打ち合わせの手元

必要な仲介手数料の種類・成功報酬の計算方式・最低成功報酬額の確認などが終わればいよいよM&A会社と仲介契約を締結します。

「今までたくさん話を聞いてきたから大丈夫」と油断せずに、契約書の内容はしっかりとチェックしてください。

5-1 かかる費用の詳細をチェック

コストを抑えたい社長にとって最も重要なポイントといえるのが、かかる費用の詳細をチェックすることです。

  • 価格表示に消費税が含まれているか
  • 必要な仲介手数料の項目(着手金や中間金の有無など)
  • レーマン方式の報酬基準額(負債も含むのかなど)
  • 最低成功報酬額はいくらか

上記4点は、M&A仲介の契約書にサインをする前に必ず確認してください。

不明瞭な点や分かりづらい点があれば担当者に確認をして、契約書に明文化してもらいましょう。

5-2 専任or非専任のチェック

M&Aの仲介契約には専任契約と非専任契約があり、それぞれ以下の特徴を持っています。

専任or非専任

<専任契約>

契約を締結したM&A会社以外へは業務を依頼できない

<非専任契約>

契約を締結したM&A会社以外にも業務を依頼できる

専任契約は1社としか契約ができないため、じっくりと腰を据えてM&Aに取り組むことができます。

ただし他社との契約ができない分、信頼できるM&Aアドバイザーとの出会いが重要です。

悪質なアドバイザーに当たってしまうと「アドバイザリー契約を締結したもののその後の音沙汰がない…。」という事態が起こってしまう可能性があるためです。

それに対して非専任契約は複数のM&A会社と仲介契約が締結できるため、より多くの買い手候補企業と出会える可能性が高まります。

ただし多くのM&A会社と契約すると、情報漏洩のリスクが高まります。

さらに、専任のM&A会社と比べると売却活動が積極的ではないケースが散見されることも特徴の1つです。

買い手への打診も「マッチングしたらラッキー」程度で行われる恐れがあるため、必ず売却を成功させたい社長は専任のM&A会社のほうがおすすめです。

非専任のM&A会社と契約を結ぶのであれば、2~3社程度にとどめておきましょう。

専任・非専任どちらを希望しているのか、それぞれのメリットデメリットを比較検討してから契約の締結に臨んでください。

5-3 M&A仲介契約の解除規定をチェック

M&Aの仲介契約を自分から途中解除できるかどうかも重要なポイントです。

担当のM&Aアドバイザリーと合わないと感じたときなど、契約の解除や専任契約から非専任契約への変更ができなければ、M&Aそのものが納得のできない結果に終わってしまう恐れがあるからです。

また契約を途中で解除できたとしても、違約金が発生するケースもあります。

さらに自分が契約事項に違反することがあった場合に、契約解除のペナルティが課される場合もあるため注意してください。

  • 途中解除の可否
  • 途中解除した際に違約金が発生するかどうか
  • ペナルティとしての契約解除の有無

上記の3点は、契約書にサインをする前にしっかりと確認しておきましょう。

契約の内容を明確に把握するには、法的な知識が必要になる場合も多いです。必要に応じて弁護士に相談することも念頭に置いておきましょう。

まとめ

お金からの芽生え

M&Aの仲介手数料には、10%(2023年9月現在)の消費税がかかります。

仲介手数料は高額になりやすいため、消費税の額を抑えたいのであれば仲介手数料自体をなるべく抑えるしかありません。

M&A仲介手数料を抑えるためには、下記の3点に注意しましょう。

  • 最終的に必要となる報酬総額が抑えられるM&A会社を選ぶ
  • レーマン方式の基準額算出方法に注意する
  • 最低成功報酬額に注意する
齋藤さん

完全成功報酬型にとらわれず、総額で考えることがポイントです。

また、契約後に「こんなはずじゃなかった」という思いをしないためにも、契約書に書かれている内容はしっかりとチェックしてください。

不明瞭な点や分かりづらい記載があれば、全て担当者に確認して明文化してもらいましょう。

そしてM&Aにかかるコストを抑えるために最も大切なことは、信頼できるM&Aアドバイザーとの出会いです。

M&Aアドバイザーとの相性はM&Aの成功をも握っています。無料相談などを活用し、「この人になら安心して任せられる」というアドバイザーを見つけてください。

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この記事を監修した人 齋藤 和寿
【インバースコンサルティング株式会社代表取締役】 後継者不足の解決や豊かなリタイアを望む経営者様に寄り添い「最幸のM&A」を実現するための情報を発信しています。 仕組み経営コーチとしても活躍中。会社の仕組み化×M&Aで、社長の人生を豊かに彩ります。