「M&Aを考えてはいるけれど、他の経営者はどんなタイミングで相談しているのだろう?」
「無理に契約させられないだろうか?」
経営者にとって、手塩にかけて育てた会社を手放すM&Aは、人生で最も重い決断の一つです。それゆえに、興味はあっても一歩踏み出せずにいる方も多いのではないでしょうか。
今回は新シリーズ【実録M&Aの現場より】の第一回として、相談に来る経営者のリアルな悩みや、世代によって異なるM&Aの目的などを、インタビュー形式で掘り下げていきたいと思います
回答者:齋藤和寿
- インバースコンサルティング株式会社代表取締役
- 豊かなリタイアを実現する事業承継コンサルタント
- M&Aによる取引累計額200億円超
- 支援企業は未上場企業から上場企業など多岐に渡る
聞き手:大橋
相談者の属性について

相談者=経営者?
大橋:
本日はよろしくお願いします。まずは、インバースコンサルティングに相談に来られる方の属性について教えてください。やはり100%経営者ご本人なのでしょうか?
齋藤さん(以下、齋藤):
よろしくお願いします。M&Aを検討していてご相談に来られるのは、ほぼ100%経営者ご本人ですね。
大橋:
なるほど。逆に少数ではあるけれど、経営者以外の方がご相談に来られるケースもあるということですか?
齋藤:
ええ。実は過去に数件、社員の方からの相談もありました。それについてはまた別の機会にお話しできればと思っています。
大橋:
社員の方からですか!それは気になりますね。お話を伺える機会が楽しみです!
相談者の男女比
大橋:
ところで、相談に来られる経営者の男女比はどれくらいなのでしょうか?
齋藤:
弊社の場合は男性がほとんどですね。女性の相談者様もゼロではありませんでしたが、10年以上やってきて3、4名といったところでしょうか。
大橋:
なるほど。帝国データバンク『全国「女性社長」分析調査(2025年)』によると、2025年10月時点での女性社長比率は8.6%だそうですから、相談者がほぼ男性というのは全く違和感ないですね。
相談者の年齢層
大橋:
次の質問です。 相談に来られる経営者の年齢層はいかがでしょうか?大体おいくつくらいの経営者様が相談に来られるのですか?
齋藤:
下は30代から上は80代まで、非常に幅広いです。
ボリュームゾーンは60歳前後ですね。60代がてっぺんで、50代と70代がその次に多い印象です。
大橋:
意外と幅広いのですね。
M&Aの目的について

大橋:
当然30代の方と80代の方とではM&Aに望む目的は違うのではないかと思うのですが、皆さん最初から自分の会社を売却したいですという風に相談に来られるんですか?
齋藤:
世代によってM&Aの目的は全く違いますね。面白いくらい違います。
30代経営者の場合
齋藤:
30代の若い世代は「そろそろ売りたい」とはっきりおっしゃいます。彼らの世代にとってはもう、M&Aは経営戦略として当たり前のものになっているのです。
専門用語でいうと、「そろそろバイアウトしたいです」ということで来られますね。
バイアウトとは
本来は主に企業内部の人間が自社の株式を買い占めて経営権を取得することを指すが、事業を売却するセルアウト(Sellout)の意味でバイアウトという単語が使われることもある
大橋:
なるほど。バイアウトの目的としては、どのようなものがありますか?
齋藤:
住む場所を変えたいというのもあるし、別の事業にチャレンジしたいという方も多いですね。
あと、経営者としての自分のキャリアを考えた時に、自分で作った会社を売却しましたという実績が欲しい方もいらっしゃいます。なにぶん若いので、大きな夢を抱えている方が多い印象です。
あとは、早期リタイアを望む方もいらっしゃいますね。
目的は必ずしもひとつとは限らなくて、複数が絡んでいることもあります。
大橋:
若い方は結構ドライというか、キャリアの一環としてM&Aを捉えている方が多いのですね。
齋藤:
そうですね。上の世代、特に80代の経営者は「会社は家族」といった考えの方もいらっしゃるのですけど、30代にはそれはない。
いらっしゃるのかもしれませんけど、お会いしてる限りはほとんどないです。
大橋:
30代の方は、自分で立ち上げた会社を売却する方が多いですか?誰かから継いでっていう方もいらっしゃいますか?
齋藤:
継いでるパターンの場合は逆に全くいらっしゃらないですね。
30代だとまだ継いだばかりだと思うので、継ぎたての会社をM&Aで売却しようという判断にはならないようです。
大橋:
なるほど。継いだ方は、これから頑張ろう!という時期なんですね。
齋藤:
そうだと思います。
40代・50代経営者の場合
齋藤:
先代から継いだ方で売却希望で来られるのは、40代もいましたが、50代が多い印象ですね。
この辺りの年代は建築系とか運送会社を継いだ2代目、という方が多いです。
大橋:
創業者から会社を継いだ方が、40代・50代で相談に来られると。
齋藤:
はい。あくまでも現在は、ですが。上記の業界は厳しい状況に置かれている会社が多いのです。
人件費は高いし、原材料費も上がっている。操業に欠かせないトラックの車体も、メンテナンス代も高い。燃料費も上がる。さらに人材は常に不足しているし。という何重苦を背負っているケースも珍しくありません。
それで、単独で利益を上げていくことに限界を感じて、大手の傘下に入って会社を存続させることを目的とされているパターンが多い印象です。
80代経営者の場合
大橋:
では、80代経営者の場合は、どのような目的で相談に来られるのでしょうか。
齋藤:
80代はもう後継者不在で相談に来られる方がほとんどです。
年齢が年齢なので、次の事業に!と意欲を燃やしている方は今までにお会いしたことがないですね。
家族内や社内に継げる人がいなくて、解決できないまま自分が80代に突入してしまった。
継げる人を見つけられないけど、やはり会社は存続させたい、という目的の方が9割以上を占めています。
経営者がM&Aで解決したい悩みについて

多くの経営者が抱えている業績の悩み
大橋:
相談に来られる方は、後継者不在の悩みの他に、業績に悩みを持っている方が多いのでしょうか。
齋藤:
そうですね。相談に来られる方の会社というのは、業績がピークから落ちてきている会社が大半です。
大橋:
業績のV字回復をM&Aで狙っているのですか?
齋藤:
うーん。というより、先の見通しが立たなくて何とかしたい、という理由の方が大きいと思います。
経営者ご本人から面と向かって言われることは少ないのですが、ご本人の中では先々の資金繰りの計算をしっかりされているんです。
それで、このまま行くと数年でキャッシュが尽きることが分かって、これはマズいぞ、ということで弊社へ相談に来られる。という感じです。
大橋:
なるほど。言わない、表には出さないけど、経営者のプライド的なのが出させないという感じですかね。
齋藤:
それはあると思いますね。
自分も経営者だから分かるのですが、自分からちょっと経営が苦しいんですなんて言えないですよね。
大橋:
確かに。言われてみればそうですよね。
齋藤:
社員にも取引先にも、心配を与えないために普段からそんなことは言わないはずですし。
もし取引の場面で「経営が苦しいんですよね」って言ったら信用を失ってしまいます。
その延長線で我々にも言わないですね。ズバリ言う人もたまにいますけど…。
大橋:
ではなぜ齋藤さんは、先の見通しが立たない悩みを持っていると分かるのでしょうか。
齋藤:
初回のご相談時に3期分の決算書を持参していただいているので、それを見れば会社が今どんな状態か、上に向かっているのか下に向かっているのか、だいたい分かります。
相談者さんには言いませんが。
大橋:
そこはさすが大人同士の会話ですね。相手があまり言いたくないことは敢えて言わせないという。
齋藤:
そこ掘り下げられても相談者様は決していい気分になれませんしね。
で、もう1つ。資金繰りについて計算してると言いましたけど、していない方もたまにいらっしゃいます。
業績が悪い状態に慣れきっているというか、怖くて目を瞑ってしまっている状態というか、そんな方は非常にまずい。
相談してくる頃にはもう手遅れになっている会社も多いですね。
大橋:
結構二極化というか、しっかり計算してる方は割と余裕のあるうちに来られる感じなんですかね。
齋藤:
それは間違いないです。
そういうケースだと、時間的に余裕があることもあって、M&Aのお相手も見つかりやすい傾向にあります。
でも資金ショート直前とかはやはりさすがに無理なケースが大半です。
資金ショートしなくても、借り入れの金額によっては無理な場合もあります。
ここはやはり、現実にしっかりと目を向けて、しっかり数字を見て早めに相談してほしいなと思います。
大橋:
いずれにせよ中小は苦しい、そういうイメージですかね。
齋藤:
基本苦しいですね。国のルール改正や働き方改革でどんどん利益が削られている。
あれらは良いことですけど、会社の業績にはマイナスばかり与える結果になってるんですよね。
業績のいい会社も悪い会社も、M&Aするしないに関わらず、経営者は常に未来の不確実性と戦ってると思います。
複数の悩みを抱えているケースも見過ごせない
大橋:
30代の方は結構ばっさりキャリアチェンジしたい、80代は後継者不在、というのは先ほど伺ったのですが、50代、60代、70代、そのあたりの方に関してはいかがでしょうか。
齋藤:
複合的な悩みを抱えている方が多いですね。
その世代の大体のパターンとしては、後継者はいないし業績も微妙だという、この2点が絡んでいるケースがかなり多い気がします。
例えば相談者様で多いのは、売上と負債が同じくらいあるという状態です。
でも利益は少しずつ下がってきている。もうね、返済できる目途が立たないと思うんです。
返したらまた借りて、の繰り返しが終わらない。
大橋:
いわゆる自転車操業というやつですね。
齋藤:
そうですね。
で、そこから抜け出せる目途が立たない。たとえ後継者候補がいたとしても、そんな状態の会社は継がせられないと考える。
けど2代目で50代の方だと、まだまだ生活のために働かないといけない。
それで考えた結果、M&Aで大手の傘下に入り、社長を続けながら業績を回復させられないか、と相談に来られる、という感じですね。
大橋:
なるほど。まだまだ引退したくてもできない、それが50代なのですね。
齋藤:
今後も家族の生活を守っていかなければいけない。安心して引退できる年齢ではない。引退したいと願っている80代との違いはそこです。
それによって、やるべきことや考えなきゃいけないことが変わってくる感じですかね。
このあたりが、最も相談されることの多い悩みですね。
業績が順調な中小企業がM&Aを検討するケースも
齋藤:
反対に、業績の面では苦しくはない。後継者候補もいるけど、会社を任せるのはちょっと不安…という経営者が相談に来られることもあります。
大橋:
会社の将来のために、優秀な経営者に会社を任せたい、という思いで相談に来られるのですね。
齋藤:
そうですね。会社の将来のためといえば、「会社をもっと発展させたい」という目的で相談に来られる方もいらっしゃいます。
大橋:
M&Aで会社をもっと発展させるというと?経営者自身は第一線を退くイメージなのですが。
齋藤:
一旦ファンドに売却して、ファンドに会社を大きくしてもらって上場させるということもできるんです。
ファンドに売却する際には全ての株式を売らずに、経営者自身にもある程度残しておく。
そうすれば、株主であり続けられるうえに、上場したときに高値で売却できる可能性も高い。
これを2段階イグジットというのですが、話すと長くなるので、別の機会にお話しできればと思います。
大橋:
なるほど。引退したい人と会社をもっと大きくしてバリバリやっていきたい人と、真逆のパターンに分かれるんですね。
齋藤:
そうですね。業績が順調な方と順調ではない方の、双方向のベクトルが存在します。
そこに後継者がいるいない、自分は何歳か、など複数の要素が絡み合って、M&Aという選択肢に行き着く感じですかね。
M&Aの相談に来る経営者の業種や相談方法は?

M&Aの相談に来られる経営者の職種
大橋:
では次の質問ですけれども、インバースコンサルティングにはどのような業種の経営者様が相談に来られていますか?
齋藤:
割と幅広いですね。運送、派遣、建設、IT、塾とか化粧品製造会社、フィットネスジムなどもありましたね。逆にこないのは農業や林業です。
大橋:
農業ってそもそも法人にしてるっていうイメージがほとんどないですね…。
齋藤:
ああ、確かに。割合は少ないですけど、あるんです。でも私の場合は、M&Aの相談はされたことがないですね。
初回の相談方法について
大橋:
相談方法についての質問です。
メールや電話、対面などいくつかの選択肢があると思うのですが、最初はどの方法で相談される方が多いのでしょうか?
齋藤:
メールやお問い合わせフォームなどからも来ますけど、電話が一番多いですね。
大橋:
なるほど。その電話を受けて、改めて面談の日程を調整するイメージですか?
齋藤:
そうですね。電話を受けて、「じゃあ今度近くにお邪魔しますので一度お会いしましょう」というパターンが多いですね。ウェブ面談も最近は多いです。
相談者様がお住まいの地域などにもよりますけど、訪問したり、ウェブだったり、柔軟に対応しています。
初回相談時の内容について
大橋:
では、次の質問です。
初回の相談時によくされる質問はありますか?皆様どのようなことを聞かれるのでしょうか?
齋藤:
初回は1時間から2時間ほどお話をするのですが、その中でどんな話があるかということですよね。
大橋:
いきなり「よろしくお願いします。会社売りたいんですけど」っていう方って、そんなにいらっしゃらないとさっき仰っていたので。
どういう切り口から入っていくのかなっていう疑問があります。
齋藤:
そうですね。まずストレートに「本日はどのようなお悩みでご相談に来られたのですか?」と聞きます。
そうすると業績の話などが出てきますので、そこで決算書を拝見して、という流れが多いですね。
で、「ちなみに後継者は決まっていらっしゃるのですか?」とこちらから伺います。
それに対する答えで最適解を探していくというイメージです。
そうすると「先行きが不安で」とか「後継者候補はいるけれど、任せられるのか不安で」というようなお話が出てきます。
大橋:
相談者様から、というより、齋藤さんがどんどん話を聞き出していくようなイメージなのですね。
齋藤:
それは人により、というところもありますね。
「後継者は居なくて、こういう状況だから今のうちに」といった感じで自らお話してくださる方ももちろんたくさんいらっしゃいますよ。
大橋:
M&Aを前提に相談に来られている方が多いのでしょうか?
齋藤:
そうですね。ここ2~3年は、事前に情報を自分の中に入れた上で、相談に来られる方が多い印象です。
仲介契約について

仲介契約締結までの相談回数について
大橋:
実際に齋藤さんに相談したとして、一度相談しただけで、仲介契約をどうするか決めないといけないのでしょうか?
齋藤:
そんなことはありません。3回くらい話を聞いて決める方もいらっしゃいますし、何度相談してから、というのはハッキリと決まってはいないですね。
大橋:
逆に一回で決める方もいらっしゃいますか?
齋藤:
はい。一回のご相談で決められる方もいらっしゃいます。即決されるのは、明確な目的意識を持っている方がほとんどですね。
大橋:
なるほど。迷っている方は何回か相談して決めていきたい、という感じですかね。
齋藤:
そうですね。イメージとして、2回…。まあ基本2回くらいが多いですかね。
専任か非専任か
大橋:
皆さん何社か回られていらっしゃるのですか?
他の仲介会社と並行して契約して買い手探しを進めて、という方はいらっしゃらないですか?
齋藤:
たまにいらっしゃいますね。複数の仲介会社と契約して買い手を探すことを、非専任契約といいます。
専任契約と非専任契約
- 専任契約
他社との契約はしない約束で1社だけと仲介契約を締結し、M&Aを進めること - 非専任契約
複数社のM&A仲介会社と契約し、並行して買い手探しや交渉を進めること
齋藤:
売主様からすると、非専任の方がたくさん買い手が見つかるのではないかという気持ちはあると思います。
一方で仲介会社の立場からすると、売主様が複数の会社に依頼している以上は、売上がゼロになる可能性がありますよね。
大橋:
確かに。せっかく買い手を探したのに、他社が探してきた買い手とM&Aが成立したら、売上は立ちませんね。
齋藤:
そうなんです。無駄働きになってしまう可能性が高い。だから非専任での依頼は、どこの仲介会社にもあまりいい顔はされません。
大橋:
ということは、非専任では仲介契約を締結できないということでしょうか。
齋藤:
案件によりますね。相談者様の会社に合いそうな買い手が弊社のクライアントにいる場合は、受けることもあります。
ただ弊社は少数で運営している会社ですので、基本的には非専任では受けていません。
大橋:
基本的には専任契約でお任せいただく、というかたちになるのですね。
齋藤:
そうですね。信頼できる一社にお願いしたい方は、専任契約の仲介会社を選ぶと良いと思います。
逆に、自社の情報をたくさんの買い手候補に流してほしいです。という方は非専任の方が向いているかもしれません。
そこはもう売主様の判断で、仲介会社との考え方が合えば契約すればいいと思います。
M&Aの営業はしつこい?

大橋:
では、最後の質問です。
ここ気になる方は多いと思うのですが、相談したら契約するまで帰してもらえないのでしょうか?
齋藤:
ストレートでいいですね(笑)ええ、そうですね。帰さないですね。
大橋:
怖い(笑)
齋藤:
それはさすがに冗談です。
契約は、早くても3回目の面談時ですね。だいぶ先だと思っていていただいて大丈夫です。むしろ初回相談時には締結しません。
大橋:
では、半ば無理矢理に契約をお勧めしたり、契約するまで帰らせませんとか、そういう雰囲気ではないということでよろしいでしょうか。安心して相談できますか?
齋藤:
無理強いはしません。本当にM&Aを決断してくださるのであればぜひお願いします、というスタンスでやっています。
逆に、決心できていないまま仲介契約を締結する方がたまにいらっしゃるのですが、途中で「やっぱりやめます」と言われるのが、弊社にとっても買い手候補にとっても一番しんどいです。
なので、興味本位でとりあえず売れるかどうかやりますという方には、正直なところ契約してほしくないですね
大橋:
インバースコンサルティング側としても、勢いだけでとか、その場のノリみたいなもので契約されたくはない、むしろそんな感じなのですね。
齋藤:
そうですね。
売りたいと思って仲介契約を交わしたものの、なんとなく気分で「やっぱりやめる」ってのはやめてください。買い手も時間とコストをかけて検討するので。
基本的には売主様側もM&Aに対してしっかりと決心して頂いて、弊社との信頼関係もある程度できあがったところで契約、という形になります。
齋藤:
あと、1つ補足させてください。
契約したら必ず会社を売却しなければいけないのかというと、決してそうではありません。
売るつもりではあるけれど、買い手候補から出てくる条件が飲めないということは出てくると思います。そればかりは実際に動いて、買い手候補と条件をすり合わせてみないと分からないので。
なので、条件が合えば売却すればいい話であって、合わないのに売却しなければいけないという話ではありません。
そこはちょっと誤解のないようにお願いします。
大橋:
契約したからといって、必ずしも売却しなければいけない、というわけでもないのですね。売主様の条件に合ったところがあれば売却してください。というスタンスでやってくださるということですね。
齋藤:
その通りです。あともう1つ補足させてください。
M&Aを決断したものの、条件が合わない買い手候補ばかりでどうしても売却の決断ができない、というケースもありえます。
そうなると、経営へのモチベーションが著しく下がってしまう方がいらっしゃるのですが、条件の合う買い手候補が見つかるまで、スムーズな案件でもだいたい半年から1年かかります。
本当に条件が合わないときは、2年から3年くらいかかったこともあります。なので、一度条件が合わなくても諦めない、ということも大切です。
大橋:
ということは、売却すると決めたらすぐに買い手が見つかるとは限らない、と頭の片隅に入れておいた方がいいということですね。
齋藤:
その通りです。
まとめ

大橋:
今回は、インバースコンサルティングへ相談に来られる方について、代表の齋藤さんにお話を伺いました。
M&Aの相談に訪れる経営者の背景は、30代の戦略的なバイアウトから80代の後継者問題解決まで、世代によってそれぞれ特徴があるようです。
しかし、どの世代にも共通しているのは、将来の不確実性や業績への不安を抱えながらも「会社をどう存続させるか」という重責を担っている点です。
会社を存続させていくためのポイントは、資金繰りや業績が悪化しきる前の、早めの相談にあります。
時間に余裕があるほど、理想的な買い手候補をじっくりと探すことが可能になり、納得感のある成約に繋がりやすくなるからです。
また、M&Aの相談は決して「即契約」を迫られるものではありません。
数回の面談を経て専門家との信頼関係を築き、経営者ご自身が心から納得した上で一歩を踏み出すことが大切です。
たとえ契約しても、条件が合わなければ売却を見送るという選択も、当然の権利として守られています。
まずは自社の立ち位置を客観的に把握し、未来の選択肢を広げるための「対話」から始めましょう。
それが、会社と従業員を守るための、確かな第一歩となるはずです。














