M&A

「会社の資産」と「個人の資産」の分離について

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突然ですが「会社の資産」と「個人の資産」を明確に分けていますか?
多くの会社では、この点が非常に曖昧になっていると思います。

この記事では、曖昧になりがちな会社の資産と個人の資産を分離させておくべき理由について解説しています。

1章:私用化しやすい会社の資産

並んだ車

会社名義の車は多くの会社がお持ちではないでしょうか?

名義は会社なので社長車として仕事に使っていることと思います。しかしそのまま個人で使用しているケースもあるのではないでしょうか?

あるいは、大きな社宅として会社が不動産を所有し、それを社長個人が使用していることもあると思います。

なお、個人使用が問題だから分けた方が良い、と言いたいわけではありません。
※そもそも顧問税理士に確認されていると思いますので、問題無い使用のはずです。

2章:個人資産と会社の資産の分離は必須

分離するイメージ

M&Aをする場合に資産の分離は必須です。

個人資産だけでなく、事業とは無関係な収益不動産を所有している事例も過去にありました。

このように「個人資産」や「事業外の資産」は買い手が望まないことがほとんどのため、会社を売却する際にはなんらかの手段で切り離す必要があります。

特に買い手が上場企業や上場を目指している途中の中堅会社であればなおさらで、ほぼ間違いなく「会社を取得する前に切り離してもらいたい」という話になるはずです。

特に社長が退任するような場合には、買い手側から社長を入れなければならないこともあります。

そのような場合に、とても高価な社長車を使用していたとしたらどうでしょうか?
買い手の社長車より高級といったこともあるかもしれません。

基本的に買い手側に合わせる形になりますので、やはり切り離しは必須ということになります。

3章:資産を切り離すタイミングについて

背景が分割された時計

こう聞くと「会社の売却が確定する前に切り離すのはちょっと・・・」と思われる方もいると思いますが、その点は心配ありません。

売却には「株式譲渡契約を締結すること」と「譲渡代金を受領すること」の2つに分けて考えるからです。

2-1 株式譲渡契約を締結

まず、株式譲渡契約の締結(捺印)をすることで様々な条件を確定させた上で譲渡を固めます。その中には、資金決済をするための条件も盛り込まれます。

具体的には「車を時価で買い取ること」であったり、「株式投資の上場株を売却すること」であったり、「代表個人に掛けている保険の名義変更」であったりです。

2-2 資金決済の条件を満たす

次に、上で記載したような資金決済の条件を売主が実行します。

これで買い手にとっては売却確定前に個人資産を切り離すことができたとなりますので、無事に決済資金が振り込まれるということになります。

このように双方にリスクの少ない形へ案件個別にカスタマイズされていきますので、ご安心ください。

2-3 切り離しの方法と価格の問題点

分離する方法としては、単純に個人で買い取る場合もあれば、退職金として現物支給をする場合もあります。

この時に良くある質問として「車」は既に償却が終わっているから1円で買い取って良いのか?というご質問です。

答えは、1円でも可能だが、税金が発生する可能性が高い、です。

買取でも現物支給でも対象となる資産の評価は【時価】になります。

時価での売買が原則で、時価から離れた金額での売買となると、その差額に対して税金が掛かってしまうというわけです。

※減価償却後の価格は1円でも、同じ中古車が300万円で売買されているとなると、299万円を贈与されたとみなすようなイメージです。

4章:まとめ

家と車が資産のイメージ

M&Aを実行するときには、この「個人で使用している会社資産」や「事業外資産」をどうするのか、事前に深く考えてから進めることをおススメします。

この点が曖昧だと、買い手は「時価で買い取ってくれた上での買収金額」だと思っていたが、売り手は「1円で買い取れば良いと思っていたので、それであれば300万円株式譲渡価格に上乗せしてもらいたい」という齟齬が生まれることもあります。

結局は事前の状況整理をした上での売却が重要になってくるわけです。

ご参考になれば幸いです。

ABOUT ME
齋藤 和寿
【インバースコンサルティング株式会社代表取締役】 後継者不足の解決や豊かなリタイアを望む経営者様に寄り添い「最幸のM&A」を実現するための情報を発信しています。 仕組み経営コーチとしても活躍中。会社の仕組み化×M&Aで、社長の人生を豊かに彩ります。
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