M&A

M&A会社からの迷惑電話に対応する方法|仲介業者の目的と見極め方も解説

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社長

最近M&A会社のコンサルタントを名乗る人物から営業の電話が頻繁にかかってきて困っているんです。

実は、M&A会社からの営業電話はどの会社にもよく掛かってくるものなのです。

たとえ社長に会社売却の意思はなくても、そのような電話が頻繁に掛かってきたら電話を受けた従業員が不安になってしまいますよね。

不安を感じた従業員から「この会社はM&Aを検討しているのではないか」と噂が立ってしまうと、会社にとって大きなリスクにもなりかねません。

そこでこの記事では、M&A会社から掛かってくる迷惑電話の目的と内容を明らかにし、迷惑電話にスマートに対処する方法を解説しています。

齋藤さん

悪質なM&A会社とうっかり契約を結んでしまわないように、気を付けていきましょう!

登場人物紹介

齋藤さん

インバースコンサルティング株式会社の代表取締役で現役のM&Aコンサルタントでもあります。記事内ではM&Aに関する疑問にどんどんお答えしていきます!

社長

中小企業を経営している社長です。後継者不在に悩んでいて、M&Aを検討している真っ只中にいます。いつもは困った顔をしていますが、たまに笑顔になります。

1章:「御社を買いたい人がいる」は99%嘘

白い電話

会社の代表電話にM&A仲介会社のコンサルタントを名乗る人物が電話をかけてきて、「社長を出してほしい」とか「御社を買いたい人がいるから社長に取り次いでほしい」などと言い出すケースに遭遇したことのある人も多いのではないでしょうか。

先に申し上げますと、これらの電話は99%が嘘です。

何十社、何百社と片っ端から電話をかけて、反応のあった会社に営業トークを行う営業電話の1つなのです。

M&A仲介会社も会社ですから、利益を上げなくてはなりません。そして利益を上げるためには契約が必要です。

M&A仲介会社が案件を獲得するための、無差別な営業電話と捉えてまず間違いないでしょう。

「御社を買いたい人」はほとんどのケースにおいて存在しません。

齋藤さん

「御社と資本提携したい」というパターンもありますが、文言が違うだけで相手の狙いは同じです。

ただしごくごく稀なケースですが、企業買収を検討している企業が買収の候補としてめぼしい会社をいくつかピックアップしている中の1社として入っている場合があります。

社長

企業買収を検討している会社からご指名頂いている可能性もあるということですか?

齋藤さん

限りなく低いですが、可能性はゼロではありません。

社長

迷惑電話との違いを見分けるのは難しそうですね?

齋藤さん

実は、割と簡単に見分ける方法があるんですよ。詳しくは4章で解説しています。

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2章:M&A会社の目的

目的地へ向かう矢印

「御社を買いたい人がいる」という電話の99%は嘘だということが分かりました。

では、迷惑電話をかけてくるM&A仲介会社の目的は一体何なのでしょうか。

齋藤さん

迷惑電話の最終目的は、ズバリ「M&A仲介契約を取ること」です。

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2-1 まずは社長にアポを取ること

M&A仲介会社からの迷惑電話は、主に会社の代表電話にかかってきます。
(HPのお問い合わせフォームからメールが送られてくるケースもあります)

齋藤さん

代表電話を受ける人は、社長ではありませんよね。

社長

たしかに。我が社では受付の担当者が受けています。

迷惑電話をかけてくるM&A仲介会社の最初の目的は、社長へ取り次いでもらうことです。

そのために最も社長にアポの取りやすい「営業電話」という方法を取っているのです。

そして直接社長に営業トークを行い、社長とアポが取れたら第一段階はクリアというわけです。

自社の経営に自信がある社長ほど注意が必要

自社の経営に自信があり、自社を誇りに思っている社長ほど「御社と資本提携したい」という話にダマされやすい傾向があるため注意してください。

社長

たしかに「御社と資本提携したい」と言われたら数ある同業者の中から自社が選ばれたみたいで嬉しいです。

齋藤さん

そうですよね。しかしその「他社ではなく自社を選んだ」という根拠がどこにあるのかをまずは疑ってくださいね。

2-2 M&Aアドバイザリー契約を締結させること

M&A仲介会社の最終目的は、M&Aアドバイザリー契約の締結です。

齋藤さん

アドバイザリー契約さえ締結してしまえば、M&A仲介会社はシレッと買い手を見つけて話の辻褄を合わせることができますからね。

社長

その後M&Aが成立すれば成功報酬もゲットできますしね!

代表にかけた電話を社長に取り次いでもらい、実際にアポを取ることに成功したら、あとはひたすら営業トークです。

営業トークの最中も「御社を買いたい人」の存在はあやふやなままのケースが多いです。

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3章:迷惑電話の内容とM&A会社の行動パターン

赤い電話

実際にかかってくる迷惑電話とはどのような内容なのでしょうか。

ここではM&A仲介会社からかかってくる迷惑電話の内容と電話口で言われやすい言葉を、会社の対応別にご紹介していきます。

齋藤さん

かかってくる電話の内容や対応別の行動パターンは、会社の電話を受ける可能性のある従業員全員に周知させておくことをおすすめします。

3-1 どんな内容の電話がかかってくるのか

迷惑電話をかけてくるM&A仲介会社の最初の目的は、社長に取り次いでもらうことでしたね。

そのためいかにも「機密事項を社長に伝えたい」「自分から電話がかかってくることを社長は知っている」という口ぶりで電話をかけてくることが多いのです。

 最初に言われやすい一言
  • 「先日社長にお伝えしていることについて補足がありお電話致しました」
  • 「御社と資本提携を望んでいらっしゃる企業様について社長にお伝えしたいことがあります」
  • 「先日お送りいたしましたお手紙について社長にご説明を差し上げたくお電話致しました」

機密保持が何よりも重要なM&Aにおいては、従業員への情報漏洩にも細心の注意を払う必要があります。

そのため会社の代表電話にかけてきて「機密事項を社長にお話したい」というのはおかしな話です。

  • 社長のことを知っている風な口ぶり
  • 機密事項を伝えたいという内容
齋藤さん

上記の2点が揃ったら、その電話は怪しすぎるのでお断りでOKです。

社長

私のことを知っているのであれば、私に直接連絡を取ってくるはずですものね。

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3-2 電話を社長に取り次いだ場合どうなるのか

実際にM&A仲介会社から掛かってきた営業電話を社長に取り次ぐと、次のようなセリフが聞かれることが多いです。

  • 「御社と資本提携をしたいと言っている企業があります」
  • 「M&Aのメリットをぜひ社長にお伝えしたいです」
  • 「御社なら高値で譲渡できます!」
  • 「需要が多い今のうちにM&Aを行いましょう!」

初めて話をするM&A仲介会社が自社の価値を知っているわけがないので、高値で譲渡できる根拠はどこにもありません。

相手の狙いは、少しでもM&Aに興味を持ってもらい、直接会う機会を得ることです。

そのため相手は、美味しい話を目の前にぶら下げて社長の興味を引こうとします。

もしくは、あの手この手で経営への懸念や将来への不安を引き出すような言葉を投げかけて、不安を煽ってくるかもしれません。

そして社長が少しでも会社売却への興味が出てきたり自社の未来に不安を感じたりしたら、「M&Aで解決しましょう!」という展開へ持ち込むというわけです。

3-3 社長への取り次ぎを断ったらどうなるのか

電話を受けた従業員が、社長への取次ぎを断った場合はどうなるのでしょうか。

齋藤さん

悪質なM&A会社の場合、脅しともとれるような発言をされるケースもあるんですよ。

  • こんな重要な話を社長に通さないなんてありえません
  • 会社にとって大切な話なのに、あなたの判断で断るんですか?

上記のようなことを言われたとしても、会社に損害を与えることはありません。臆することなくお断りすれば大丈夫です。

4章:M&A会社からの迷惑電話を見極める方法

電話口に向かって叫ぶ男性

M&A仲介会社から掛かってくる「御社を買いたい人がいる」という電話は99%が嘘です。

しかし残りの1%、ごくごくわずかですが、真実である場合があるのもまた事実です。

「御社を買いたい人がいる」の真偽を見極めるセリフ

「相手の具体的な社名を教えてください」

このひとことがあればOKです。

たいていの場合、以下のような反応が返ってきます。

「機密保持契約を結ばないと教えられない」と言われる。

社長

確かにそこでホイホイ社名を明かしてしまうM&A会社は信用できませんね。

齋藤さん

ごもっともです。そこでもし具体的な社名を出してくるような会社は即刻お断りでOKです。

秘密保持契約の締結に費用がかからないことを確認できれば、情報収集ツールと割り切って秘密保持契約を締結しても良いかもしれません。

齋藤さん

もしここで着手金などの請求があるようならば、これもお断りでOKです。

もし営業電話のセリフが本当であれば、買い手候補として出てくる社名は1社のみ

具体的な社名が何社か出てきたり、のらりくらりと明言を避けたりしているようであれば、「御社を買いたい人がいる」というのは嘘です。

中には「今回の買い手候補は御社の買収から降りてしまったが、御社には魅力があるから他社に買収を打診していきましょう」と言い出すケースも存在します。

齋藤さん

本当は買い手など存在しておらず、秘密保持契約の締結と並行して慌てて買い手を探している可能性があります。

社長

なるほど。慌てて買い手候補を探して帳尻を合わせようとしているのですね。

齋藤さん

秘密保持契約の締結後すぐに1社だけの社名が出てきたなら、本当に「自社を買いたい人がいたんだ」と思ってOKです。

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5章:M&A会社からの迷惑電話への対処法

電話を受けるオペレーター

「あなたの会社を買いたい」というセリフが99%が嘘であるならば、M&A会社を名乗る人物からの電話は全てシャットアウトで良いでしょう。

社長

会社の代表電話を取る可能性のある従業員が複数いるのですが…。

齋藤さん

社内に「M&A仲介会社からの電話は全て断る」という仕組みを作れば良いのですよ。

5-1 社長へ取り次がない仕組みを作る

会社の代表電話にM&A仲介会社から電話がかかってきたときには、以下のセリフでお断りしましょう。

「弊社ではこのようなお電話は取り次ぎをしないようにとの指示が出ております。恐れ入りますが、お引き取り下さいませ。」

齋藤さん

個人の判断ではなく、会社の方針として取り次げないという旨をアピールするのです。

社長

なるほど。会社の方針としておけば、電話に出た従業員が嫌な思いをしなくて済みそうですね。

中には「本当にいいのか」「あなたのその言葉で会社は大きな商機を逃してしまう」などと脅しのような言葉をかけてくる悪質なM&A仲介会社も存在します。

しかし、その電話を断っても会社の大きな商機を逃してしまうことはありません。

安心してお断りするよう、従業員には伝えておきましょう。

5-2 外部に「セールスお断り」をアピールできる仕組みを作る

例えば会社HPのお問い合わせフォームなどに「セールスお断り」の文言を添えておくのも1つの方法です。

ただしそれを無視して営業電話をかけてくるM&A仲介会社も実際に存在します。

そのため、社長へ取り次がない仕組みにプラスする要素として活用してください。

5-3 中小企業庁へ通報する

最後に、いくら断ってもなかなか電話を切らせてくれなくてほとほと困り果ててしまった場合に繰り出す必殺技をご紹介します。

「御社が中小企業庁のM&A支援機関であれば、このやり取りを相談窓口へ報告させて頂きます。」

M&A支援機関というのは、「中小企業庁が管理しているM&A会社を取り締まるための登録制度」です。

苦情の多いM&A会社は登録を解除されることもあり、そうなると補助金が出なくなってしまうなどM&A会社にとって不都合が発生します。

齋藤さん

M&A会社としてもM&A支援機関に苦情を入れられるのは避けたいはずなので、諦めて電話を切ってくれると思いますよ。

中小企業庁:M&A支援機関情報提供受付窓口

日本国内のM&A仲介会社はほとんどがこのM&A支援機関に登録しています。

もし「弊社はM&A支援機関ではありません」といわれたら、そもそも国の定めるガイドラインを遵守していないM&A仲介会社です。

齋藤さん

「M&A支援機関ではない」と言われたらガチャ切りしてその後は着信拒否でもいいと思います。

社長

齋藤さん、意外と激しいことをおっしゃいますね(笑)

まとめ

黒い受話器

M&A仲介会社から会社の代表電話などにかかってくる「御社を買いたい人がいる」という電話の99%は嘘です。

齋藤さん

「御社を買いたい人」なんて本当は存在しません。リストアップされた会社に片っ端から架電しているだけです。

彼らの目的は、社長にアポを取って営業を行い、M&Aの契約を取ることです。

齋藤さん

実際にアポが取れてから買い手候補を慌てて探し始めるM&A仲介会社も存在します。

そのため代表電話にかかってくるM&A仲介会社を名乗る人物からの電話は、全てシャットアウトしてOKです。

「弊社ではこのようなお電話は取り次ぎをしないようにとの指示が出ております。」と、会社の方針として社長に取り次がない仕組みを作る

1%程度の可能性ではありますが、「御社を買いたい人」が本当にいるのか見極めたい場合は、以下の質問を相手に投げかけてみましょう。

社長

相手の具体的な社名を教えてください

たいていのM&A仲介会社は、秘密保持契約の締結を求めてくるはずです。

齋藤さん

実際にアポが取れてから買い手候補を慌てて探し始めるM&A仲介会社も存在します。

ここで着手金などの名目でお金の支払いを求められるのであれば、断ってOKです。

「御社を買いたい人」が本当にいるのであれば、出てくる社名は1社のみ

社名が複数出てきたり、曖昧な言い回しで明言を避けたりしているようであれば、M&A契約を取るための無差別な営業電話で間違いありません。

齋藤さん

悪質なM&A仲介会社と契約して、莫大なお金を支払ってしまうことのないように気を付けてくださいね。

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ABOUT ME
この記事を監修した人 齋藤 和寿
【インバースコンサルティング株式会社代表取締役】 後継者不足の解決や豊かなリタイアを望む経営者様に寄り添い「最幸のM&A」を実現するための情報を発信しています。 仕組み経営コーチとしても活躍中。会社の仕組み化×M&Aで、社長の人生を豊かに彩ります。